ピアノ学習者に必須の楽典の本、通称「黄色い本」。
このブログでは、ピアノの音や演奏と結びつけながら楽典を学習するポイントをご紹介しています。
前回の「音高・音大受験に必須の「黄色い本」を解説![前編]」は、第1章〜第4章までを解説しました。
うさぎ先輩
もも
この記事では、続きとなる第5章〜第8章、そして実際に音楽高校や音楽大学の受験対策をするときのポイントをまとめました。
もも
さいりえ
もくじ
第5章 音階
この章のポイント
- 長音階と短音階
- 調の相互関係
- 移調と転調
- 調の判定
- いろいろな音階
もも
さいりえ
ピアノのレッスンなどでいろいろな調を習っている人にとっては、なじみのある内容ですよね。
ちょっと自信がないという人は、ここでしっかり順序立てて頭に入れてください。
大げさでなく、譜読みや暗譜の質とスピード、そして演奏の内容に直結します。
楽典の試験や受験だけの話ではないのです。
だいじなポイントを挙げていきますね。
調の名前と調号、音階固有音を完璧に覚えよう
まず基本中の基本、調の名前と調号を覚えます。
固有音(こゆうおん)とは、「その調が持っている音」「その調を構成している音」のことです。
ハノンのスケールとアルペジオを弾きながら、音と一緒に覚えることが一番。
調号は一定のルールにのっとって増えていくので、それを覚えるといいですよ。
さいりえ
音階や固有音を覚えることは、このあとの項目の「移調」や「調判定」でも必要になってくるので、完璧にマスターしましょう。
移調
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移調は、ある曲の旋律や和声を、別の調にずらして演奏したり楽譜に書いたりすること。
感覚で移調できる人もいると思いますし、わたしもぱっと移調して弾くときは感覚でやることもあります。
ですが、楽典の試験ではややこしい問題が出ますし、理論的にも理解、実践しておくと安心です。
以下は、旋律の移調方法の基本的な手順です。
さいりえ
※くわしくは黄色い本を読んで実践してくださいね。
すごく機械的な方法ですが、これで確実に移調することができます。
音楽的に(耳で)移調する練習、鍵盤上で移調する方法などほかにもありますが、ここでは割愛しますね。
調の判定
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音楽高校や音楽大学の入試問題でもよく出てくる、調の判定。
学校によって曲や問題のクセがあったりして、けっこう点数が取りづらいこともあります。
さいりえ
どうやって調を判定するの?必要な力は?
調の判定も、移調と同じくいろいろなアプローチ方法があります。
- 響きで当てる
- 感覚で当てる
- 固有音、和声で推理する
など、あらゆる面から判定する力をつけられると良いですね。
とくに
- 楽譜を頭の中で鳴らせること
- 調感覚が自分の中にあること
この2つの能力が身についていると強いですし、少しずつ身に着けてほしいことです。
ただ、これが苦手な人でも、理論だけで導き出すことは一応可能です。
とくに楽典の問題では正解がちゃんとあるので、ふだんの調判定が苦手な人も、イチから覚えなおすつもりでやってみましょう!
調判定のすすめ方
感覚で調を当てられる人は強いですが、それでもしっかりルールを覚えておく必要がありますよ。
- 固有音をかならず覚える
- ルールを覚える(固有音と、臨時に変化した音とを見分ける)
- 調を構成する特徴となる音を知っておく
単旋律と大譜表の楽曲では、少しポイントが異なります。
さいりえ
単旋律の調判定のポイント
- 固有音をひとつずつ推理すればわかることが多い
- 難しい問題では、和声を推理しなければならないものもある
そして、大譜表の問題を解くときや、実際のピアノの練習中に調を探すには、固有音の考え方以外に、和音の機能を見る方法も大事です。
大譜表などの調判定のポイント
- 横の旋律に加え、縦の和声で判断することが重要
- とくにドミナント(V度や属七)を探すとわかりやすい!
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さいりえ
和音については次の項でも学びますので、第5章と第6章を行ったり来たりしながら理解を深めていきましょう。
第6章 和音
この章のポイント
- 和音の構成
- 三和音、七の和音の種類
- 和音の展開
- 和音の機能
- 主要三和音と副三和音
もも
さいりえ
またまた、超重要項目がつづきます。
これまでピアノを何年も弾いてきたあなたなら、和音の重要性を かならず肌で感じているはずです。
その「感覚」と「理論」を結びつけ、さらに深い演奏への材料としていきましょう。
和音の知識を身につけよう
まず、和音の基本的な知識を身につけましょう。
演奏にも、かならず役に立ちます。
- 長三和音・短三和音・増三和音・減三和音がわかる・作れること
- 和音の度数がわかること(まずは、調がわかっている状態。その後、何調の何度か?もわかるように)
- 和音の機能がわかること
- 和音を作れること
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ピアノの鍵盤で和音を弾いて、聴いてみよう
実践として、どんどん弾いてみましょう。
長三和音を弾いたり、各調の和音を弾いてみたり。
慣れてきたら、
- 展開する
- 連結させる(カデンツ)
などが重要になってきます。
また、協力してくれる家族や友人、先生がおられる場合は
弾いてもらって、その響きに慣れることやぱっと判別することもできると良いです。
(もちろん、自分で弾きながら響きをじっくり弾いてもいいですし)
もも
さいりえ
ピアノのレッスンでは、ハノンのスケールのあとのカデンツをいろんな和音、形に変奏・移調する方法を取り入れたりして鍵盤上での和音の実践を深めています。
細かいルール、和声法は奥が深いので、すべてを一気に理解できなくてもかまいません。
とにかくたくさん聴きながら&味わいながら実践していってください。
このような専用テキストでどんどん実践していくこともあります。
第7章 速さ・強さに関する表示法
この章のポイント
- 速さの表示法
- 強さの表示法
- 速さ・強さを変化させるときの表示法
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さいりえ
弾いている曲といっしょに、用語を覚えよう
速さや強さは、実際の曲や表現といっしょに覚えるのが一番です。
いま弾いている曲や新しい曲を譜読みするときに、
- 「この曲はAllegrettoで、このくらいの速さ」
- 「4分音符が120ってこんな速さなんだ〜」
と、音楽といっしょに実感すると、次の曲でも応用しやすくなります。
速さの数字表示は、意味をよく理解しておこう
たとえば「♪=120」は、8分音符をメトロノーム120の速さでという意味です。
そしてメトロノーム120とは、「1分間を120に分けて打つ速度」。
どういう意味か?を知っておくと、とっさのときに応用できますよ。
さいりえ
第8章 曲想・奏法に関する表示法
この章のポイント
- 曲想に関する用語
- 奏法を指示する用語・記号
- 装飾音・装飾記号
- 反復記号・略記号
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さいりえ
曲想や奏法に関する音楽用語は、試験対策だけでなく実際の演奏に直結します。
このように覚えていきましょう。
- 曲とともに覚える
- 練習している曲に出てきたら調べて覚える
- 楽語の元の意味を知る
- 間違えやすいポイント(スペルなど)を知っておく
ふだんから幅広く知識をつけながら、最終的にはしっかり暗記していきます。
音楽用語辞典・音楽辞典
楽典の黄色い本にも主要な用語が載っていますが、音楽用語辞典は1冊あると便利です。
というか必需品!
軽くて便利な音楽用語辞典
この本はわたしが子どもの頃から使っている本ですが、ほかにもいろんな辞典が出ています。
本格的な音楽辞典
次に紹介するのは、標準音楽辞典。
楽語だけでなく、作曲家や音楽に関するあらゆるワードが書かれています。音楽の百科事典ですね。
社会人になってから思い切って買いましたが、もっと前から持っておけばよかった!と思う辞典です。
高額ではありますが、音楽を真剣に志すなら買って後悔のない辞典です。
巻末・問題集
黄色い本の巻末は問題集になっています。
ひとつの項目の定着度を確認するのに、いろんな角度から問い、答えさせているので、問題集をしっかり丁寧に解けば確実に力がつきます。
- 本文でよく理解した項目から解いていく
- 自分で答え合わせして、間違えた項目は原因を確認
- わからないことは先生や専門家に聞く
- 復習に使う
- 試験前の追い込みに、繰り返し解く
など、いろんな使い方でばっちりマスターしてくださいね。
さいりえ
音楽高校・音楽大学の入学試験では傾向を知ることもだいじ
ここまで、前後編に分けて楽典の黄色い本「理論と実習」の学習方法を解説してきました。
もも
うさぎ先輩
この本を一冊終えれば、音楽理論の基本的な知識がつきますし、音楽高校・音楽大学の入学試験にも対応できるレベルになってきます。
ただ、これ1冊ではまだ入試対策としては100点満点とはいえません。
- さらなる応用・発展知識をつける
- あらゆる角度からの対応力をつける
- 学校の入試問題の傾向を知り、対策する
など、どんどんステップアップしていきましょう!
参考になるテキスト・資料
今回使った「黄色い本」。
黄色い本を終えた方に。一歩すすんだ内容が書かれています。
(「白い本」と読んでいました)
具体的な入試対策に。音楽高校や音楽大学の入試問題と回答が掲載されています。
前編はこちらです。
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