もも
うさぎ先輩
もも
さいりえ
うさぎ先輩
ピアノ曲のジャンルのひとつに、「変奏曲(Variation/ヴァリエーション)」があります。
古い時代から現代まで、多くの作曲家によって書かれている変奏曲。
変化が多くて楽しめますし、技巧的にも華やかな曲が多くて人気の作品も多いですよね。
ピアノ学習者にとっても1曲でさまざまな表現やテクニックを学べるので勉強になります。
そんな変奏曲ですが、小品やソナタなどとはまた違う特徴があるので、
- どうやって練習すれば良いんだろう?
- 分析のポイントは?
- 変奏の違いを出せばいいのかなぁ?
- なんだかまとまらない気がする…
など、ピンと来ないこともあるかもしれませんね。
この記事では、変奏曲の種類や分析、演奏のポイントについてお話します。
あこがれのあの変奏曲にチャレンジしてみませんか?
もくじ
変奏曲って?種類あれこれも!
変奏曲は、あるテーマ(主題)を元に、いくつかの変奏を並べて一つにまとめた曲のこと。
変奏は5〜6個のものあれば、30個以上の曲も!
ひとことで変奏曲といっても、いろいろな種類のものがあります。
たとえば
- シャコンヌやパッサカリアなど、バスの一定のラインやリズムをずっと変えずに変奏していくもの。バロック時代の音楽だが、古典以降にも同様のスタイルで書かれた変奏曲がいくつもある。
- モーツァルトのきらきら星変奏曲(あぁお母さん聞いて、による変奏曲)のように、拍子や和声、メロディのラインを大きく変えずに形を少しずつ変えていくもの(装飾変奏)
- ロマン派以降にとくに多く見られるような、変奏ごとに調性や拍子、キャラクターがガラリと変わっていくもの(性格変奏)
などです。
たとえばベートーヴェンは、上記の3種類の変奏曲をすべて作っていたりします。
また、1曲の中に装飾的変奏と性格的変奏が混ざっている曲もあります。
さいりえ
変奏の種類を知ることは、これから弾く曲がどのような変奏曲なのか、どのように構成されているか?を知る手がかりになりますね。
もも
うさぎ先輩
分析と演奏①テーマを分析する
ではここからは分析のお話です。
まずは、ざっくりテーマを分析してみましょう。
- 拍子、調性、小節数など基本的な形を見る
- 何形式か見る
- どんな音楽タイプか見る(旋律と伴奏/コラール風、など)
- 和声進行やポイントになる部分を確認
など、はじめはシンプルな分析でかまいません。
さいりえ
分析と演奏②全体の構成を見る
(②〜④は順不同です。大まかに全体を見ていくことと、個別の変奏を見ていくこと、どちらも大事です。)
ひとつひとつの変奏を譜読みしていくのも楽しいですが、全体がどのように配列されているかを見ます。
このときのポイントは、
- いくつかの変奏ごとにグループ化する
- 核となる変奏を見つける・決める
ということです。
たとえば12個くらいの変奏があるとき、1,2,3,4,5…とすべて並列の関係で一つ一つ進むとも限りません。
1〜3までがひとつの繋がりになり、4と5で趣向を変えて、6で主題の世界に戻り…
というように、いくつかのグループにしていくと全体をつかみやすくなります。
このとき、自分の好きなようにグループ分けするのではなく、あくまで楽譜上から(調性や音形、テンポなどいろんな楽譜の要素から)読み取ることが重要です。
そして、すべての変奏の中でも、「核」となる変奏がいくつかあったりします。
たとえば長調の変奏曲の中で1〜2つだけ短調になっていたり、その逆だったり。
数個の変奏を経て、明らかにここで盛り上がって一段落しているな!という変奏もあり、そんなときは他の変奏よりも大きく間をとって良いこともあります。
分析と演奏③変奏の種類・ポイントを見抜く
複雑な変奏になると、主題の原型をとどめていないこともよくあります。
そんなときに「一体この変奏のポイントは何なのか?」と見つけることで、演奏の目的がはっきりします。
たとえば
- 形はまったく違うけれど、テーマとまったく同じ和声進行
- テーマの特徴的なリズムや音程の断片だけが繰り返されている
- テーマからというより、直前の変奏からさらに発展しているもの
などです。
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うさぎ先輩
さいりえ
分析と演奏④テーマやほかの変奏との共通点・相違点を見つけ、生かす
上の項目と関係していますが、テーマとの共通点と相違点を整理することは重要です。
たとえば、超有名なパガニーニのテーマですが、このテーマにつけられる和声にはいくつかの種類があります。
- 1度なのか4度調の5度なのか?
- 2度なのかナポリの2度なのか?
- 2度7なのか増6なのか?
など変奏によって異なることもあります。
そのような細やかな色合い、響きの変化を敏感に感じ、表現していきましょう。
ブラームスのパガニーニ変奏曲の和音分析については、こちらの note で一部実演解説しています。
和声以外にも、フレーズの取り方や小節数、強拍と弱拍の関係や山のある場所の違いなど、たくさんポイントがあります。
ひとつひとつ楽譜を読み解くことは、とても楽しい作業だと思いますよ!
分析と演奏⑤ひとつのストーリーに見立てる
変奏曲は、各変奏を音楽的に弾くことももちろん大事ですが、全体をひとつのストーリーとして見立てて弾くことも大事です。
大きな曲ですと20〜30分以上ありますので、どのように歩んでいってどう終えるのか、と大きく描いてみます。
一つ一つの変奏だけを考えて弾き始めると迷子になってしまいますので、かならず全体像を計画・イメージして弾くようにしてくださいね。
さいりえ
おわりに〜変奏曲は名曲ぞろい!〜
変奏曲とひとことで言ってもいろんな曲がありますね。
いろんなテクニックや表現が出てくるので、技術的・音楽的にも勉強になる曲も多いです。
わたしは通っていた音楽教室で年に2回試験のようなものがあったのですが、
- 小学2年生でベートーヴェンのうつろな心による変奏曲
- 3年生でモーツァルトのキラキラ星練習曲
- 4年生で中田喜直の変奏的練習曲
と、変奏曲にたくさんチャレンジしたので、なんとなく小さいころからなじみが深かったですね。
さいりえ
その後も、大きなコンクールや試験、リサイタルなどでベートーヴェンやメンデルスゾーン、ブラームス、ラフマニノフなどの変奏曲を選んできました。個人的には大好きなジャンルです!
あなたが変奏曲にチャレンジされる際の参考になりましたら幸いです。
この記事は公式LINEの過去レッスンメモを再編集して作成しました。
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