以前生徒さんからもらった質問です。
生徒さん
譜読みは、ピアニストにとって重要な要素のひとつ。
- 苦手な人
- 得意な人
- ゆっくりじっくりの人
- パパっと読んじゃう人
いろんな人がいると思います。
ゆっくり丁寧に譜読みするのも良いことですが、曲が増えてくると読むスピードも少しずつ上げていきたいですよね。
それに、苦手だな、イヤだなと思う譜読みは苦しいので、楽しくできることが一番。
この記事では、譜読み力アップのために必要なことや、「今日からできる!対策と練習方法」をご紹介していきます。
音大や音高の初見の試験対策にもどうぞ!
プロのピアニストはどんなふうに譜読みしているの?と気になる方はご参考にご覧いただければと思います!曲はショパンのボレロ、華麗なる変奏曲、子守唄です。
もくじ
譜読みが得意だと、どんなメリットがある?
譜読みや初見が得意になると、いいことがたくさん。
- たくさんの曲に触れる、勉強することができる
- レッスンで、音楽的な内容をたくさん教わることができる
- 音楽の理解力が高まる
将来にも役立ちます!
- 急な仕事を引き受けるとき
- アンサンブルをするとき(他の楽器の音も理解しやすくなります)
- 伴奏で多くの曲を弾くとき
- 移調する必要があるとき(声楽の伴奏などでよくあります)
- 自分が誰かにレッスンをするとき(生徒さんが弾いている曲を一緒に弾くときに)
では、譜読み力アップのために必要なことを見ていきましょう。
譜読み力アップ!重要ポイント
譜読みが得意になるには、このような力をつけていけると良いですね。
この中に、得意なことや苦手なことはありますか?
- 音符を目で見て音がわかる
- 手がその形を取れる(できるだけ、ほぼ同時に)
- その作曲家の音楽語法に、ある程度慣れている
- 音をすぐに読めること
- 和声が頭、耳、手になじんでいること
- 調性感をもっていて、耳で聴けること
- いろいろな形に手も慣れていること
- 構成を理解し、見つけられること
- 各作曲家の作品を多く弾き、多く聴くこと
この記事では、今日からできる!、オススメの対策や練習方法をご紹介していきます!
【実践1】:とにかくなんでも弾いちゃう!
なんだか大ざっぱな対策ですが、実はこれが一番効いたりします。
「譜読みの練習のため」などではなく、「この曲素敵だなぁ」「弾いてみたいなぁ」という曲を、楽譜を開けてはどんどん弾いてみます。
譜読みには、楽譜を音にしていくワクワクが
譜読みはイヤ〜な作業ではなく、「楽譜を音として形にする」ための手段であり、それはとてもワクワクすることなんです。
たとえば、曲を決める段階でよくあること。
さいりえ
うー
もも
さいりえ
全部スラスラ弾けるまで、じゃなくても構いません。
なんとなく、でも良いのです。
楽譜の上の音符が音楽になっていく、その楽しさ、嬉しさを味わってほしいなと思います。
またそういう経験を積み重ねて、初めて見る楽譜への対応力も上がっていきます。
ぜひ、いろんな曲の楽譜を出してポロポロと弾いてみてくださいね。
【実践2】:やさしめの曲をどんどん弾く
実践的でオススメの方法です。
譜読みの練習だけでなく、
- すみずみまで音を聴いて丁寧に弾くこと
- その作曲家の語法や表現にチャレンジすること
- 暗譜の練習
など、いろいろな練習にもなります。
どんな曲が良い?
基本的な形を読むのが苦手な人には・・・
ソナチネやツェルニーなどシンプルなもので、基本的な形に慣れていきましょう。
近現代の「子どものための〜」と書かれたような短い曲集を。
難しい曲も入っていますが、短めの曲からチャレンジしてみてください。ほかにもいろんな曲集があります!
音は読めるけれど、曲の表情や内容をつかんで譜読みするのが苦手、という人は
音数は少ないけれど曲想が豊かなもの、たとえばシューマンの「子どもの情景」などもオススメです。
バルトークの「ミクロコスモス」などは、小学生から大人まで、レベルに合わせて曲を選んで弾くことができます。
ぜひやっておきましょう。
小学生から高校生以上まで、とても勉強になる曲集です。
小学校高学年〜中学生くらいですと、4巻あたりからスタートすることが多いです。
【実践3】:移調練習のススメ
もも
さいりえ
左手をよく読み間違える、メロディーは弾けるけど内声や左手が読めなくて止まってしまう・・・という人に特にオススメです。
シンプルですぐに読める楽譜を、移調してさまざまな調で弾いてみる
ソナチネ、ツェルニー100番程度、ブルグミュラー25の練習曲などを、原調(楽譜にある調)と、2度や3度上下の調で弾いてみましょう。
たとえば、ハ長調からなら、まずはおとなりのニ長調、そしてイ長調。
主音が黒鍵になりますが、変ロ長調などもおすすめです。
(ト長調、ヘ長調も良いのですが、始めの鍵盤から離れるので少し難しくなります)
さまざまな形・調の和声進行に慣れる!
この時重要なのが、(主に)左手の和声進行です。
シンプルな曲は 和声進行がわかりやすく書かれているので移調しやすく、
そしてこの練習により、基本的なカデンツ(終止形)に手がなじんできます。
すると、初めて弾く曲でも左手がスッスッと和音を取れるようになってきます。
(それなりに経験が必要です)
さまざまな曲や形を移調してみよう
カデンツの練習→音数が少ないシンプルな曲→和音が多いもの・ポリフォニーのもの
慣れたら、ぜひインヴェンションなどの移調にもチャレンジしてみてください。
【実践4】:賛美歌を弾く
私はクリスチャンの家庭で生まれ育ったので、家に賛美歌の本があります。
賛美歌は、4声部に分かれて書かれていることが多く、伴奏譜もそのまま歌のラインをなぞって4声体で書かれていることが多いです。
1曲1曲はそんなに難しくないですが、ずっと弾いていることで自然な4声の進行や和声の形がなじんできます。
教会で賛美歌の伴奏をしている方は、いろいろな調の和音進行をスッと弾けたりする方が多いですよ。
和声が苦手な人は、ぜひ賛美歌を継続的に弾いてみてください!
きっと、「聴く力」も強化できますよ。
【実践5】:カデンツの練習
曲ではなく、徹底的に鍵盤ソルフェージュとして訓練したい!という方には
ぜひやってみてほしい内容です。
移調練習、賛美歌練習と並んでオススメです。
カデンツとは?
日本語で言うと和音の終止形のことです。
※代表的なカデンツの一つ(これはハノンの音階の後に出てくるカデンツです)
曲の中のカデンツ・和音進行
「カデンツは曲の中のある一部分にしか出てこない」と思う人もおられるかもしれません。
確かに、大きなカデンツ、ガッチリした終止形は、曲の中の重要どころで出てきます。
ですが、こまかな「和音の連結」はいつでも登場しています。
さまざまな調の、基本的なカデンツ・和音進行をいつでもさらっと手で弾けること。手の慣れ。
これはとても重要なことです。
レッスンでは、和声が苦手な人に、簡単なカデンツパターンを作って移調の宿題を出したりします。
最近は、こんなテキストを併用することがあります。
まとめ:譜読みが速いと、将来役立ちます!
この記事では、
- 譜読みが速いと、学べることが増える&将来に役立つ
- 譜読み力アップに重要なポイント
- 今日からできる対策&練習方法
をご紹介しました。
さらに実践的に、私がふだん心がけていることを書いている記事です。
ぜひ楽しく楽譜に向き合ってください。
こちらのnoteでは、テキストと動画で解説しています。
プロのピアニストはどんなふうに譜読みしているの?と気になる方はご参考にご覧いただければと思います!
曲はショパンのボレロ、華麗なる変奏曲、子守唄です。
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