受験シーズンまっただ中!
私もかつて音高、音大、大学院と受験してきましたので、その時期のことを思い出すと懐かしいです。
寒い毎日ですが、受験生の皆さんがベストを尽くせますよう応援しています。
さて音高や音大の入試というと、演奏実技や専門分野の成績がものを言うのはもちろんなのですが、避けては通れない分野がありますね。
- 一般教科
- 音楽理論(楽典)
- 聴音、視唱などソルフェージュ
その中でも、きっと多くの受験生が通る道であろう
聴音の試験。
得意なあなたは、ドーンと構えているでしょう。
苦手だなぁ〜と思うあなたは、ギリギリまでレッスンに通ったり、「どんな問題かなぁ〜〜」とドキドキしているでしょう。
この記事ではそんなあなたへ、入試前の要チェックポイントを徹底解説していきます!
- 試験前に確認しておきたい!大事なこと
- 減点をできる限り減らすポイント
- 楽譜の書き方
- 限られた試験時間のつかい方
など、くわしく解説していきます。
入試直前に、しっかりおさらいしてくださいね。
もくじ
1点でも多くとるために、直前に頭に入れたいこと
はじめに、とても大事な心がけをお伝えします。それは・・・
とてもドライですがとにかく1点でも多くとることです。
そりゃそうですよね。入学試験ですから・・・
1点でも多くとるために大事なのは、1点を落とさないこと。
そのためには必要なことは2つ。
- できることを確実にやる
- 同じ時間を使うなら、「できること」「点を取れること」に使う意識を持つ。
想像して読んでみてください。
たとえば、本当は「Fis(ファ♯)」が正解の部分で「F(ファ)」と書いて不正解になった。
- どうしても聴き取れなかったからとりあえずFの音を書いた
- Fisの音を聴き取れていたのに、♯を付けるのをうっかり忘れていた
- ♯が必要だと気づいたけど、他の場所を書こうとしているうちに忘れてしまった」
わかっていて落とすのは、あまりにももったいないですよね!
もちろん、難しい部分もギリギリまでくらいついて聴こう、書こうとする姿勢は大切です。
でも、難しい部分を何回も聴こうとしていると、このように「できるところ」まで落としてしまう危険性があります。
試験直前に意識しておきたいことは、「できるところを確実に取る・書く」ことです。
その結果、1点、2点と点数を上げることができるのです。
この大切なポイントはどうか覚えていてください。
再確認!減点される要素を整理
では次に、減点される原因を再確認しておきましょう。
以下の5点に分類されます。
- 白紙の部分
- 音の高さが違う
- 音の長さ(リズム)が違う
- 音楽的な意味が違う(異名同音や和声の配置・リズム表記など)
- 楽譜のルールに則っていない(調号と拍子記号を逆に書くなど)
まずは、これらを再度確認してください。
そして、最近レッスンや過去問題などで解いたものがあれば、
- あなたが点を重ねられなかったところはどういう原因か?
- 同じ状況であっても気をつければ1点でも多く取れそうだったところはどこか?
と見直してみます。
ではこの下から、具体的な点数アップのポイントを書いていきます。
ポイント1:大前提。見やすい楽譜を心がけよう
まずは「楽譜として見やすく」書くよう心がけましょう。
雑に書いてしまって「間違い」に見えてしまったら大変な損ですよね。
何十枚、何百枚と採点される試験官を想像してください。
もちろん一枚一枚丁寧に採点されると思いますが、それでも
「♯か♮かわからない」とか、「ソかラかわからない」という曖昧な記述では、もし違って見えたら大きな損です。
いくつかの例を挙げますので、これを参考に曖昧な記述は避けてキッチリ書きましょう。
音符ははみ出さず、正確に
書いた本人は「○の音のつもり」でも、第3者が見ると判別できない場合があります。
拍を揃える
音価(音の長さ)がわかるように丁寧に書きましょう。
ありがちな例
- 小節の左か右に、音符が偏る
- 長い音符の次に来る音符を、すぐ近くに書いてしまう(本来なら長い音符はそれだけ空白ができます)
視覚的にもわかりやすいリズム表記を心がけましょう。
- 小節内を拍の数で分割して均等に書く
- 各拍の頭にくる音は、左端に来るように書く(ど真ん中ではありません)
上下を揃える
2声以上の課題や大譜表課題の場合、上下のリズム表記を揃えましょう。
その楽譜を見た人が歌いやすいか?弾きやすいか?と想像してください。
- 拍はきれいに分割して書けているか?(上の事例)
- 同時に鳴っている音が真上/真下にあるか?
- 後から鳴る音は右側に来ているか?(本当は後から鳴る音なのに、左側に来ていないか?)
目標の目安は、その楽譜を見た人が「歌える」「弾ける」こと。と言っても良いでしょう。
ポイント2:「1点」を大切に。ケアレスミスを防ぐためには?
まずあなたの心理として、
「できるだけ楽譜を埋めたい。全部の音符を完璧に取りたい」
という心理があるのではないでしょうか?
それは大切な心がけですし、最後の1回までしっかり食らいついて聴き取りたいです。
ただ、ケアレスミスを防ぎ、1点でも多く確実に積み上げるためには、
がんばっても今この瞬間には大変そうなこと
よりも
気をつければ、「いま」できること
を確実にする!!
ということが、とても重要です。
「いま」確実にできること、とは?
「いま」とは、まさに試験真っただ中のことです。
「いま」確実にできることには、このようなことがあります。
- 拍子記号、調号の確認
→調号は各段に。拍子記号は始めの小節に。調号の数は合っていますか? - 「はた」のつけ忘れ、付点のつけ忘れ、3連符の「3」の書き忘れ
→あせるとそのまま忘れてしまうことがあります。もう一度、落ち着いて、よく見直して。 - 臨時記号の付け忘れ
→短調の曲はとくに出てきやすい臨時記号がありますね?曲の最初から最後まで確認してみましょう。 - 臨時記号の戻し忘れ
→これもよくある「ミス」の一つです。次項にて詳しく書きます。
とくに臨時記号、気づけるところは確実に書く!
臨時記号の付け忘れと戻し忘れについては、とくによくある間違いですので、ぜひこの項目をよく読んでください。
次の譜例は、よくある例です(ヘ長調)。
始めの♮よりも、後の♭を忘れるケースがしばしばあります。
この場合、頭の中では「シの♭」を聴き取れているにもかかわらず、書き忘れることがあるのです。
これが、「戻し忘れ」です。
次の例です(ハ長調)。
これだけ間に音があると、戻し忘れても無理はない・・・「うん、仕方ない!」と思ってしまいそうです。
・・・でも、これは出題者の引っかけですよ!
受験生が忘れやすいところに、あるのですよ!
こういうところで1点、2点との差が出てきます。
しっかり聴き取れたなら、ここで忘れず確実に「♮」を書き入れましょう。
(ちなみにこれは「♮」が無いとかなり変わった音になります。変わってたか、自然に聞こえたか、というだけでも判断材料になりますね)
ポイント3:あともう少し、気をつけて聴こう!
気をつけて聴けばできることでも、他のことに気を取られていたり、ふっと気を抜いたりしてしまうと聴こえないことがあります。
ここは易しい部分だな、よしできた、と思うところほど、もう一度気をつけて聴き取りましょう。
例:
・音の長さ・4分音符or8分音符? 2分音符or付点4分音符?
・タイか休符か?
ポイント4:最後の持ち時間!見直せば見つかることを見直そう
課題を一通り聴き、楽譜を仕上げるタイミングで、最後に見直しの時間が与えられることが多いです。
ここで、記憶が曖昧な部分をウーンウーンと思い出そうとするのはやめましょう。
もう実際の音を聴くことができないのに、後から「あれ、ここ♯だったっけ・・・?♮・・・?」と、悩んでいるとわけがわからなくなります。
見直すだけの時間には、曖昧な記憶を引っ張り出すことに固執せず、割り切りましょう。
それよりも、
- 拍の合計が合っているか
- 明らかなミスがないか
など、とか、そういう点を見直すことをオススメします。
もうこれでいく!と思えば、目を閉じて待っていても良いと思います。
チェックポイントの例:
- 音部記号や拍子記号など、きちんと書けてる?
- 拍の合計は合ってる?
- 音符は最後まで完成してる?
- 明らかにおかしなところはない?
- 受験番号や名前は書いた?
いったんまとめ
ここまで、いくつかの観点からポイントを挙げてきましたが、もう一度、大事なことを確認します。
それは、
「できることを確実にする」ことを最優先
し、その上で
「大変なところも、ギリギリまで精一杯くらいつく」
この2つを両立することです。
これらの優先順位がひっくり返ると、もったいないミスが出てきてしまいます。
試験の、あの緊張感!精神面も重要
それにしても、試験場での、あの
- 限られた時間。
- シーンとした緊張感(カッ、カッと隣の鉛筆の音、時計の針の音)。
- 「あと〜回以内で書かなければならない」という切迫感。
はすごいです。
(脅かすようですみませんが・・・でも事実なので、イメージしておいてください)
その中で冷静に音と向き合い、自分の力を分配するのは、それだけで一つの「力」です。
仮に、「聴音はちょっぴり苦手だな」と思う人も、この「時間と自分を管理して分配する」力があれば、数点上がりますよ!!
- 他の人の鉛筆の音なんて、気にしない。
- 音と自分に集中。
- 淡々と、しっかり拍をとって、できることを着々と楽譜に書いていく。
受験の最終段階では、聴音の数点がものを言うことも十分ありえます。
楽器の練習など毎日毎日やることがいっぱいだと思いますが、こんなことを頭に入れて当日を迎えてもらえたら、もしそれがワンポイントでも役立てばとても嬉しいことです。
この記事を読んでくれたあなたがベストを尽くせますように応援しています。
さいごに・2年生以下の皆さんへ
この記事では、聴音の試験の「直前に」頭に入れておくと良いことを解説しました。
長期的にじっくり聴音の力をつけていくには
- 継続的に訓練すること
- 普段楽器を弾いているときから、よく音を聴こうと意識すること
- 和声や形式の理解力をつけておくこと
- いろいろな音楽を聴く・体験すること
- あらゆる聴音の形態にチャレンジしてみること(志望校別対策も含む)
など、さまざまな角度から音楽に触れ親しむことが大切です。
ぜひ積極的に音楽に触れ、ソルフェージュの勉強も続けてくださいね。
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