暗譜がこわい。
そう思うこと、ありませんか?
もも
うさぎ先輩
さいりえ
まず、暗譜の対策にいちばんだいじなことをお話します。
効率的に暗譜の練習をするためには、あなたの得意や苦手、暗譜パターンを知ることです。
あなたも、ひとことで「暗譜が苦手や」「暗譜がこわいなぁ」と思っているかもしれませんが、きっと「得意」と「苦手」があるのではないでしょうか?
ぴったりの対策を見つけられれば、きっと本番の舞台も楽しみになるはず!
もくじ
暗譜できない、止まってしまうかも…という恐怖
わたしは暗譜が得意ではありません。
大学生くらいまでは「弾いていたらいつの間にか覚えている」感じでしたが、20代の後半あたりから急に暗譜がこわくなりました。
何百回、何千回と弾いている曲でも、舞台の上で急にわからなくなったらどうしよう?といつも不安でした。
ひどいときは、舞台に出て椅子に座った瞬間、「最初、どうやって始まるんだったっけ・・・」と迷うことも。
暗譜だけじゃなくて、脳の処理速度や、からだの俊敏性などが少しずつ衰えはじめたころだったのかもしれません。
暗譜そのものより、「得体のしれない不安感」がこわかったです。
もも
それから、とにかくできる対策は1つずつやりました。
ここから、あなたの「得意・苦手」に合わせた暗譜の対策をご紹介していきます!
あなたも感じているかもしれない、暗譜のこわさを克服できますように。
暗譜のさまざまな要素。なにが得意でなにが苦手?
まず、暗譜とひとことで言っても、からだのいろいろな要素をフルに使っているんですよね。
- 頭/頭の中に曲や楽譜がしっかり入って覚えているか。
- 手・指・体/身体的な動きとして、からだの各部分にその曲がなじんで覚えているか。
- 目/楽譜や鍵盤を目で認識して覚えているか。
- 耳/音を聴き、把握できているか。また感じることができているか。
- 心/曲の感情、世界を感じ、曲に入っているか。
1曲を暗譜して演奏するために、こんなにたくさんのことが行われているなんて、ピアノってほんとに大変ですよね。
あなたは、これらの力が総合的に備わっていますか?
暗譜が苦手な原因にもいろいろあるので、それを分析してから対策するといいですね。
というふうに、弱い部分を強化していく必要があります。
もしくは、
- 目で覚えるのが得意→書き込みをして覚えていく
- 耳で覚えるのが得意→じっくり聴きながら覚える・録音を繰り返し聴く
など、得意な方向から攻めていくこともできますね。
これから、たくさんの項目を挙げていきますので、苦手の原因や対策探しに使ってください。
さいりえ
暗譜対策レベル1 〜まずは地道に〜
・とくに鍛えられることを()の中に書きました。
・とくにだいじな項目は太字にしました。
1. アナリーゼする(頭)
アナリーゼ(分析)。
曲の構成、テーマや各モチーフの展開、和声進行、転調など完璧に分析できていれば相当覚えやすくなります。
楽譜に書き込めば、目で覚える材料にもなります。
2. 左手、内声を覚える(頭・手・耳)
これはとってもだいじです。
とにかく暗譜がこわいという人は、やってみてほしいです。
いかに自分がいい加減に暗譜して弾いていたか、いかに細部を聴いていないか、ということに気づいてしまいます(わたしはしょっちゅうです)。
左手を完璧に覚えれば、暗譜への恐怖心はかなり和らぎますよ。
3. ピアノ以外のところで曲を流す(イメトレ)(頭・心)
鍵盤で音を鳴らしていると、漫然と弾いていたり、なんとなく手が動いているだけだったりすることもあります。
あえてピアノがないところで、曲を頭の中で歌います。
わたしは楽譜をめくるイメージまでします。
本番の緊張には事前のイメトレが役に立つ!すぐできるイメージトレーニングの方法
4. 歌ってみる・語ってみる(口・耳・心)
・歌ってみる。歌いながら弾く。
・ややこしいパッセージは、口に出してしゃべってみる。
歌うことで、音楽が体にしみこんできます。
また、声に出すことで覚えられることもありますし、一つ一つの音の聴こえ方も変わってきます。
5. 指づかいを覚える(手)
音だけでなく、指番号をセットでしっかり覚えると、安心感が増します。
6. 楽譜に書き込む・印をつける(頭・目)
・忘れがちな表情記号やアーティキュレーションに印をつける。
・転調のポイントになる部分を、四角く囲む。
・バスの進行を矢印でなぞっていく。
こんな何気ないメモや書き込みも、目を通して頭の中にインプットさせることができます。
カフェでやってみるのもいいですよね。
7. 写真のように見る(頭・目)
楽譜を写真のように、図としてインプットする方法です。
以前わたしはこのように覚えていました。頭の中で楽譜をめくっていくんです。
(この方法の注意点は、各社の楽譜を見比べて練習したりしていると、ページ割などが違うために頭がこんがらがることです。)
8. 1ページずつ、など部分的に覚える(総合)
期限が迫っているときに有効です。
区切って徹底的に覚えます。
9. 回数を決めて(総合)
部分的に覚える方法と組み合わせると効果的です。
2回、楽譜を見て弾いて3回目に楽譜を閉じて弾く。など、回数を決めて覚えます。
覚えられていない部分はもう一度4回目に楽譜を見て弾く、など自分のルールを決めます。
回数などの目標があると、集中力がアップするので効率がよくなります。
10. 意味を理解する、覚える、感じる(心)
音符を覚えるのではなく、その場所にこめられたものや、意味を感じ、それを自分の中に入れます。
とってもだいじなことです。
暗譜対策レベル2 〜手強い曲は徹底的に!〜
11. 聴きまくる!(耳)
研究のために聴く、というだけでなく、暗譜のために聴きまくります。
コンクールで弾く現代曲がどうしても期間内に暗譜できそうになくて、毎晩、夜中じゅう聴いていたこともありました。
さすがにそのおかげでずいぶん暗譜が進みました。
12. 紙に構成を書く(頭・目)
白い紙に、1小節目から順番に書いていきます。
- まずは、フレーズの区切りを書きます。
2小節ずつなら(2+2)、4小節なら(4)など。 - 和声や転調の流れなど、とにかく書きます。
(自分さえ意味がわかればOK!)
書けたら、楽譜(音符)を見ないでその紙を見て弾きます。
メモだけで弾くことができれば、ずいぶん頭にインプットされてきたということです!
さいりえ
(あの曲、とにかく暗譜がこわいこわいと周りから言われていたので・・・わたしの暗譜力では、あのくらいしないと無理だったかもしれません。)
13. 鍵盤の上で、音を出さずに手を動かす(体・手)
ふだん耳で覚えている人に、あえてそれをシャットアウトする練習です。
手は鍵盤に吸いつくようにスムーズに動かします。
14. 曲の途中から弾く(頭、耳、手)
曲の途中から暗譜で弾けますか?
意外と難しいですよね。
とくに、バッハのフーガなどは大変です。
でも、だからこそ、できれば暗譜レベルがグンと上がります。
(なお、楽譜があっても曲の途中から弾くのが苦手な人もいます。
ふだんから、最後の数小節から練習してみるとか、曲の途中からでもパッと楽譜を見る練習をしてみると良いですよ)
15. とりあえず録音してみる(耳)
暗譜できてないからまだ録音は・・・と言わずに、とりあえず楽譜を見ないで録音してみます。
どこかでつまづいたり、止まってしまったりするかもしれません。
そのときは、「なんとなく」ではなくて、どの音、どの指が原因で止まったのか、を分析します。
そこを覚えなおすと近道です!
暗譜対策レベル3〜もはや裏ワザ!?〜
16. 虫食い練習(頭・からだ・耳)
これは、やっている人は少ないかもしれません?
・バスを抜かして、内声だけを弾く(ショパンのワルツのような音型で)
・3拍子なら、1,2拍目を抜かして3拍目だけを弾く。
・バッハのフーガなどで、各拍の16分音符の3,4つめだけを弾く。
とにかく弾きにくいです。
ふだん自然な流れで覚えていることを、わざと壊す感じですね。
断片的になっても弾けるか!?という自分への挑戦です。
さいりえ
17. 楽譜を書いてみる(頭・目)
正確にすべて書けるくらいでしたら、かなり暗譜レベルは高そうですね。
時間がかかるので、実はやったことはありません。
効果が高そうなので、最後に挙げてみました!
まとめ・一つずつ対策して、暗譜の苦手を解消しよう!
ここまで、暗譜の細かな対策を思いつくままに書いてみました。
また、思い出したら追加していきます!
もう一度言いますが、
効率的に暗譜の練習をするためには、あなたの得意や苦手、暗譜パターンを知ることです。
わたしの場合は、「耳」は得意で「手」が苦手です。
舞台上で手が一瞬かたまってしまったり、パッと手が動かなかったりします。
「頭」で構成は覚えていて、「耳」での響きも覚えていることが多いので、「手」の部分を強化するように覚えます。
さいりえ
あなたも自分に合った対策を見つけて、本番の演奏を楽しみに舞台に上がってくださいね!
〜こちらの記事も、あわせてどうぞ〜
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