先日、LINE@「さいりえのピアノレッスン室」で登録者の皆さまからピアノに関するご質問を募集したところ、たくさんのご相談をいただきました。
その中の1つをご紹介します。
大学生の方からのご相談です。
さいりえ
LINE@では、このように書きました。
- ある程度の緊張は、受け入れる
- 緊張することを前提に、練習する→(参考記事:ピアノの本番であせる、速くなる!失敗しないための練習方法、本番のむかえ方は?)
- イメトレ(イメージトレーニング)する
この記事では、3つめの
イメトレ(イメージトレーニング)
について、さらにくわしく書いてみたいと思います。
しっかり練習を重ねた上にイメトレを本気でやれば、本番が楽しみになってきますよ!
もくじ
なぜイメトレをするの?
(※以下、イメージトレーニング→「イメトレ」で統一します。)
イメトレの効能には、以下のようなものがあります。
本番前のイメトレ(イメージトレーニング)の効能🌟
【プラスの役割】
・成功イメージを脳にすりこむ
・プラスの感情、感覚を身につける
【マイナスを和らげる役割】
・本番に自分がどうなってしまうか知る→演奏の準備が足りないときにイメトレすると、こわくなる😱。それでOK
・その感覚に向き合う
— 崔理英 / Rie Sai (@smomopiano) 2017年11月17日
成功イメージを脳にすりこむ
「失敗したくない」「間違えたらどうしよう・・・」と心配していると、脳はそのマイナスのイメージを繰り返して再生してしまいます。
すると、行動もそちらに引き寄せられてしまいます。
例:転ばない!と考えていると、転ぶことをイメージしてしまうので転びやすくなる。
自分の思ったままに演奏できている映像を脳に焼きつけることで、その方向に自らを近づけていきます。
スポーツ選手も!
もも
さいりえ
※なお私は幼少時より阪神ファンです。
プラスの感情、感覚を身につける
本番の舞台で、「音楽を感じられる」ことはなによりの幸せです。
その幸せな感情を、ちょっと先取りして感じてみます。
心のどこかで「そんなうまくいくわけない」と思ってしまっている人は、ここで「幸せな自分」を感じることを許可してあげましょう。
(わたしもそう思ってしまう方なので、自分に言い聞かせます!)
本番に自分がどうなってしまうか、知っておく
「自分がどうなるかわからない」という状態は一番こわくありませんか?
本番、舞台に上がって初めて舞い上がってしまう、こんなに緊張するなんて〜!とパニックになる状態は避けたいですよね。
そのため、イメトレして、先に緊張を味わっておくのです。
ウィルスを自分の中に少し入れて体に免疫をつくるワクチンのようなものでしょうか。
その感覚(緊張・こわい)に慣れる
ピアノとは関係ないのですが、こんな思い出があります。
学生時代、友人たちと当時日本最大だった絶叫マシンに乗る計画を立てていたときのこと。
恐怖と楽しみを同時に抱えていたわたしは、気づけば毎晩イメトレをしていたのです。
毎晩布団に入って目をつぶると、(ここから先、あなたも一緒にイメージしてみてください)
「ガタンガタン・・・」とコースターが空に向かって上がっていき→
頂点で急直下する直前に「フワァ・・・」と一瞬の間があって→
「キャァ〜〜〜〜!!」と落ちる一連の動きが何度も何度も浮かんできました。
この、「フワァ・・・」が最強に最恐にこわいのです。
↑まさにココです。
想像するだけで本気で身震いが・・・。
もも
これを毎晩イメージしすぎて、半分くらいは「すでに乗った気分」になってしまったくらいです。
当日は、こわいながらも少し慣れていて、「あの感じを味わうんだ!」と、楽しめちゃいました。
少し脱線しましたが、この、楽しさとコワさを先取りして慣れておき、本番無駄に動じないことがイメトレの大きな役割です。
それでも「本番」は、特別。
・・・え?イメトレしすぎて、本番に何も感じなくなるんじゃないかって?
それはまずありません。
本番はやっぱり本番ですから、どれだけイメトレしても特別な感情はゼロにはなりません。
ただ、無駄な恐怖心や動揺を減らすことが目的です。
イメトレの方法
では、具体的なイメトレ方法です。
大きく分けて、3つの場面をイメージしてください。
- 1つめは、もちろん本番の舞台の上。
- 2つめは、当日の朝から舞台に上がる前まで。
- そして3つめは、まさに演奏し終わったあとの自分です。
本番の舞台の上をイメージ
舞台の上で演奏している自分をイメージします。
音楽と一体化している自分を感じます。
演奏だけでなく、
- 空間
- 天井の高さや最後列までの距離
- 舞台の奥行き
- 壁の模様
- 客席の色
- お客さんの顔ぶれや表情・・・
知っているホールや会場なら、できる限り鮮明にイメージします。
初めての会場であっても、自分なりに想像してみます。
ここで大切なのは、感情や感覚をより本物に近づけること。
イメージが本物に近ければ近いほど、本番当日に実現しやすくなりますよね!
当日のすべてをイメージ
当日起きてから舞台に上がるまでのすべてをイメージします。
- 舞台袖で開演ベルを待ち、スタッフの方とアイコンタクトを取っている自分(リサイタルなど)
- 前の演奏者の演奏が聴こえる中、ドキドキしながら待っている自分(コンクール、発表会など)
- 控室で着替えを終えて、開場後の客席をモニターで見つめている自分
- 会場まで電車や車で向かっている自分
- 当日の朝ごはんを食べている自分
朝ごはんを食べているとき、どんな気持ちでしょうか?
ソワソワしている、眠れなかった、楽しみ半分&不安半分?
できるだけリアルな場面と感情を想像してみると、それだけでドキドキしてきます。
これを、本番まで、毎日のようにイメージしていきます。
コツは、ただ1つ。
なんとなくではなく、本気でやります。
本気でやることで、感情がリアルなものに近づきますし、「あ、わたし、もしかしたらこんな感覚になるかも?」と、自分を知ることもできるかもしれません。
演奏終了後の感情・感覚をイメージ
「気持ちよく弾けた」「すばらしい曲だと感じられた」と、演奏終了後の達成感までイメージできれば、かなり成果が上がります。
ここではとくに、「行動」よりも「感情」をイメージします。
イメージしたときの感情だけで本気で喜びを感じられるようになれば、イメトレ成功です!
(たとえるならば、おかずの匂いだけでご飯を美味しく食べられる感じ、でしょうか?)
一度しかない舞台の演奏で、それ以上の喜びを感じられますように。
イメトレはいつやるの?
イメトレは、いつでも気づいたときにできます。
わたしの場合、先ほどジェットコースターの例で書いたように、夜、布団に入ってからがいちばんやりやすいです。
時期も、いつからでもいいんです。
準備が深まってきてからでもいいですし、曲が決まる前から舞台に乗っているイメージだけを浮かべてもいいと思います。
曲への思い入れが強くなればなるほど、「ちゃんとこの曲の世界を表現したい」「せっかく今まで頑張ってきたんだから、本番で発揮したい」と思い、緊張がさらに高まることもあります。
「曲の世界を汚したくない」とさえ思います。
この独特の緊張感と向き合い、うまくつきあっていくことも、イメトレの目的の1つです。
あと、不思議なもので、
(わたしの場合)
1. 演奏の準備が足りないとき→こわくなる
2. ある程度まとまってきたとき→こわくなくなる
3. ものすごく曲や本番への思い入れが高まり、こだわりが強くなってきたとき→またこわくなる
この第3段階でさらに何度もイメトレすると、効果があるようです。
— 崔理英 / Rie Sai (@smomopiano) 2017年11月17日
日によっては「気持ちよく弾けそうな気がする!」「なんだか楽しみ!」と思える日もあります。
そのときの気持ちを大事にします。
自由に、本気でイメトレしよう
以上、わたしのイメトレ方法をご紹介しました。
あなたの方法で自由にイメトレしてみてください。
ルールは1つだけ。
本気でやること!本気でなりきって、感情を感じることです。
ぜひ、本気のイメトレで、当日の本番を楽しみに待ち受けてください。
この記事は、LINE@の相談コーナーから書きました。
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