関西某所のサロンをレンタルして練習することがあります。
時々来ていますが、自宅とは違う環境で練習すると、たった数時間でも得られることが多くあります。
それについて書いていきたいと思います。
環境を変えると演奏が変わる?
方法は簡単で、その一つが「場所を変えて練習する」ということです。
サロンでも、どこかの練習室でも、ホールでもかまいません。
日時を決めて、予約しちゃいます。
お客さんはいません。
そこでレッスンや弾きあい会・試演会もできるのですが、今日はあくまで「練習」のお話。
お客さんはいない場合を想定して書いています。
そうすると、どんな変化が現れるでしょうか?
いつもと違う「空間」
「大きなホール、空間をイメージして」
これはレッスンでも、毎回に近いくらい言葉にしています。
練習環境は人それぞれですが、多くの方はいわゆるレッスン室、練習室、またリビングルームなど自宅の一室ピアノを置かれているのではと思います。わが家もそうです。
いつも限られたスペースで表現していると、どうしても知らず知らずのうちに表現の幅もそこに合わせたものになります。
でも、実際のコンサート、発表会、コンクール・・・などでは、普段の練習スペースよりも広い場所で弾くことが多くあります。
そうなると、「広い空間を意識して」「人に伝えることを意識して(目の前の人、遠くにいる人)」演奏する必要があります。
もちろん、もともとその音楽が持っているものを大きく変えたり、ゴテゴテと塗り固めることはしなくて良いのですが、やはり、そのことを頭において普段から練習することは大切です。
時々、大きい部屋やホールで演奏して、空間を体感することは、その助けになります。
たとえば、お話するときも、そうです。
小学生の頃、学校でこんな風に言われたことがあるかもしれません。
- 国語の教科書を読むとき・・・「はっきり、ゆっくり読みましょう」「流れるように読みましょう」
- 学芸会に出るとき・・・「大きく息を吸ってから、セリフを言いましょう」「いつもよりオーバーに表現しましょう」
どちらも、隣の席にいるお友達と「今日のお昼ご飯、おいしいね」などとおしゃべりする時とは、全く違う話し方です。
それとよく似ています。
いつもと違う「ピアノ」
ピアニストがヴァイオリニストや声楽家と違うこと・・・その最大の一つは、「自分の楽器を持ち歩けない」!
その場のピアノに対応しなければなりません。
タッチも音色も、鍵盤の反応もペダルの反応も・・・一つ一つ、ピアノによって違います。
私も、毎日自分のピアノで練習していて、いざ本番の日のリハーサルになってホールのピアノを触ると、とたんにイメージしていた音が出せなくて焦ってしまったことがよくありました。
また、最近はいたるところでコンクールが行われていますが、多くチャレンジしている生徒さんも当日の感想で「ピアノが重かった、軽かった」「高音が出にくかった」「途中から対応できたorできなかった」「響きを気持ちよく聴いて弾けた」など、話してくれます。
その場のピアノに対応することに、かなりの神経を使うんですよね。
当日演奏するホールで何度も練習できれば恵まれたことなのですが、なかなかそうもいきません。
あえていろいろな場所のピアノに触れて、「知っておく」経験を増やすことで、とっさの対応もだんだんとできるようになります。
- 大きなピアノを弾く
- いろいろなメーカーのピアノを弾く
- いろいろな場所にあるピアノを弾く
- コンディションの良いピアノを弾く
- コンディションの良くないピアノを弾く
一つ一つが経験となって積み重なっていきます。
ピアニストの悩みは「自分の楽器を持ち歩けない」こと?本番のピアノに対応したい!いつもと違う「気分」
なんだ~そんな漠然としたことか・・・とあなどるなかれ。
音楽にとっても影響力が大きい、この「気分」、もう少し固く言うと「精神状態」です。
毎日家のピアノで、同じ景色を見て、決まった時間帯に練習。何か新しい視点を加えているつもりでも、自分の想像の及ぶ範囲内・・・になりやすい。
でも今日は、練習とはいえ、サロンです。予約をして、時間に合わせて会場まで行って。中に入れば、なんだかドキドキ。今から弾くんだ。この時間から弾くんだ。
そう思えば、「セミ本番」。そう、本番ではないとはいえ、半分くらい本番のようなものです。
結果、いつもと違う演奏に!!
なります。ならなかったことは今まであっただろうか?というくらいです。
いつもと同じ演奏はつまらない?本番ならではの楽しみを見つけたい!まとめ~新鮮な演奏を見つけよう!~
「新鮮さ」「楽しみ」は、「いつもの自分」を越えること、変えることで生まれます。
とくに、たくさん弾きこんで、いつでもある程度安定して弾けるようになった、どう弾きたいか考えが固まってきた・・・という時ほど、「変化」は効果的になります。
変化はいくらでもあります。
いつもと違う気候、聴衆、服装、言葉づかい、表情・・・(たとえば、表情を柔らかくしよう!逆に、ぐっと一点を見つめるようにしよう!などと思って弾くだけでも演奏は変わります)
コンクールや本番の後に生徒さんが言ってくれる「いつも通り弾けました!」というのはとても立派で素晴らしいですが、ある意味では、「いつもと違って弾けました!」というのも、とっても素敵ではないでしょうか。
自分の中で、「いつもと違う」「新しい演奏」を探すのはとても楽しいのです。