コンクール。
最近は一年中、どこかで開催されていますね。
- 一生懸命練習して、精一杯演奏できたのに賞をもらえなかった
- 今年こそはと思ったけど、予選で落ちた
落ち込みますよね。
自信をなくしてしまいませんか?
一生懸命練習したけど思うような結果が出なかった生徒さんから、
「落ち込んでます・・・」と打ち明けられることがあります。
その気持ち、よくわかります。
「私の演奏って認められないの?」
「私って価値ないの?」
「なんか、何もやる気がしなくなっちゃった・・・」
こんなこと、私も何回も思ったことあります。
でも、それでも乗り越えながら、バネにしながら、なんとかやってます。
そこでこの記事では、コンクールやオーディションで思うような結果が出なかったときに、どう気持ちを切り替えて行動しているかということを書いてみます。
コンクールシリーズ第2段です。
※第1段(前回記事)はこちら

もくじ
コンクールに落ちた、入賞できなかったと落ち込むときに・・・気持ちの切り替え4ステップ!
いつでも1位の人なんていない
コンクール、試験、オーディション、テープ審査、賞の選考、奨学金選考。
演奏する中で、たくさんの選考があります。
全ての選考にいつでも選ばれていつでも1位の人はいるんでしょうか?
おそらく、いないと思います。
輝かしい経歴を持っている人でも、どこかで落選を経験していたり、2位となって悔しい思いをしたりしているのではないでしょうか?
コンクールに落ちたら、どうして辛い気持ちになるの?
人間は誰でも、認めてもらいたいという思いを心の底に持っています(承認欲求と言います)。
私たち演奏者は、ときに無心に音楽を奏でていたとしても、やはり
人間として、演奏を通して自分を認められたい
という思いを持っているのです。
だから、自分の演奏が選ばれなかったとき、
(大失敗したとか、自分で理由が明らかなときはともかく)
「自分を否定された」
「自分は弾いている意味もないんだ」
と、まるで自分が全否定されたかのように感じてしまうかもしれません。
落ち込んだときに、どう乗り越えていけば良いか?
そのステップをご紹介します。
ステップ1:感情を受け止める
「感情」は、否定できません。
押さえ込もうとしても、苦しいだけです。
こんな感情は、そのまま
「そうか、私、いま悔しいんだな」「ぽっかり寂しい気持ちなんだな」と認めてあげましょう。
信頼できる人に気持ちを打ち明けたりするのも良いでしょう。
ステップ2:分析する
少し落ち着いたら、分析してみます。
- あなたが今回成長できた、今までよりできたことってどんなこと?(本番も、それまでの取り組みも)
- あなたの演奏はどうだったのか?良かったことは?
- 何が原因でこういう結果になったのだろう?もっとやりたかったことはある?
- 聴いている人や審査員はあなたの演奏をどう思っただろうか?何を伝えられただろうか?
- 今回学べたことはなんだろう?
自分なりに考えて、書き出したり、誰かに話したりしてみます。
ご家族やピアノの先生、専門家の方に意見を聞くのも良いでしょう。
いろいろ考えられたら、冷静になってきます。
そうしたら、次のステップです。
ここからが重要ですよ。
ステップ3:考え方の切り替え(自分&未来にフォーカス!)
考え方の切り替え1:自分にフォーカスする
結果には、「自分」の要素と、「自分以外(他人、環境)」の両方が関係しています。
このうち、「自分」に関することだけに考えをフォーカスしていきます。
たとえば、
- 審査員はどうして選んでくれなかったの? →他人×
- ○○さんの演奏にはかなわないよね →他人×
- 今回は納得できる演奏ができたから、それでいいや →自分○
- 自分の〜〜なところが足りなかったんだろう →自分○
考え方の切り替え2:未来にフォーカスする
「過去」と「未来」のうち、「未来」に関することだけを考えていきます。
- あんなに頑張ったのに・・・ →過去×
- 先生にあんなこと言われたから・・・ →過去×
- 私の演奏は〜〜だったな ・・・過去× (仮にプラスのことを考えていたとしても、それが過去ならやめます)
- 今日、この後何しようかな・・・ 未来○
- 次はこんな力をつけていく・・・未来○
- 来年もチャレンジしよう!・・・未来○
ステップ4:自分でできることは、行動に移す
考え方の切り替え1&2で浮かんだことが、「これから自分ができること」です。
「他人」と「過去」は変えられません。
変えられるのは、「自分」と「未来」だけです。
「自分」が「これから」できること、やりたいことに目を向けます。
そして、小さなことでも、実行していきます。
(例:新しい曲の譜読みをする、何か本を読む、今までと違う弾き方を研究してみる)
・・・ときどき、「やっぱり悔しい」とか「やっぱり落ち込む」ということもあると思いますが、
そんなときはまたはじめのステップに戻って、「感情を受け止め」てから、再スタートです。
考え方の切り替え3:俯瞰(ふかん)する
さてここで、もう一つ考えの切り替え方法をご紹介します。
俯瞰する・・・鳥の目のように、遠くから見るということです。
一つの結果が「全て」に見えることもあります(とくに受験など、そうでしょう)。
確かに、良い結果が出たら人生変わっていただろう、というほど大きなコンクールやオーディションはあります。
でも、それ以外の人生がダメなの?
「いま、描いている理想」や「ずっと目標にしてきたもの」だけがゴールではないのです。
大きな目でみたら、人生の1ページ。
あなたの価値は、今回の結果で判断されるものではないのです。
「その場その場の選考」は、あなたのすべてではないのです。
もっと広く大きなものを見てください。
生きている、音楽をできるだけで有り難いです。
大げさですが、本当にそう思うことがあります。
一回の結果そのものよりも、大切なこと。
その後、どう歩むか?どう生きるか?それこそ、大きなことです。
最後に、もう一度まとめの一言。
わたしはいくつかのコンクールや選考で審査員をすることがありますが、
ほんとに少しのことで順位が入れ替わることがあります。
なにか違えば、結果はちがっていたかもしれません。
だから、ひとつの結果に対して「わたしはダメなんだ」なんて思わないでほしいです。
変えられるのは、「自分」と、「未来」だけ。
さぁ、どういう扉を開けますか?
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