うさぎ先輩
もも
うさぎ先輩
さいりえ
ピアニストの最大の悩みの一つ。
それは、自分の楽器を持ち歩けないということではないでしょうか?
お家のピアノでたくさん練習しても、いざ本番当日になったらホールのピアノで演奏しますよね。
それは楽しみなことでもあり、心配ごとでもあります。
(ホロヴィッツやツィメルマンなど、まれにピアノを持ち運ぶピアニストも存在しますが、特別な例外でしょう)
一音出して、「あれっ、なんか弾きにくいぞ」と思ったらさぁ大変。
- 鍵盤が重く感じる
- なんだか音が出にくい
- 指が上すべりしそう
- ペダルがコントロールできない・・・
こんなことを感じてしまうと、対応できずに1曲終わってしまう、ということも十分あるんですよね。
うさぎ先輩
さいりえ
わたしも、完璧な答えはまだ持てていませんし、いつも試行錯誤で弾いています。
でも、以前よりは自分なりの答えが見えてきているので今日はそれをご紹介します。
さいりえ
もくじ
良いようにとらえる
もも
さいりえ
自分で弾いていてうっとりするほど素敵な音のピアノなら気持ちよく弾けると思いますが、
想像していたのと違う弾き心地だったり、弾きにくく感じたりしてしまうと、どうしてもマイナスのイメージを持ってしまいます。
でも、
- 弾きにくいなぁ
- 音が出にくい!
- あぁ、やりにくい!
と思ってしまっては、なおさら弾きづらくなりますし、悪循環です。
ここは、良いようにとらえる+現実的な対策を見つける という習慣をつけちゃいましょう!
言いかえてみる
マイナスのイメージを感じそうになったら、なんとか良いように言いかえてみます。
- 音がこもっているなぁ→落ち着いた音ですねぇ
- 鍵盤が重い!→おお、アナタわりと重厚感があるのね
- なんか浅いなぁこのピアノ、すべるやん!→アラ、コロコロと軽やかやね
もも
現実的な対策を見つける
いつも弾いているピアノと違う!弾きにくい!
と思ってしまったら、実際に何を変えたら良いのか考えて、ためしてみます。
- カンカンする→明るい音だ(でも、いつもより丁寧に打鍵しよう)
- 鍵盤が重い!→じっくり弾こう(ほんの少し遅めに弾いても良いかも)
- 高音が鳴らない!→中音域、低音域を少し控えめにしてみよう
もも
さいりえ
ピアノさん、よろしくね
人とおんなじで、短所も言いかえれば長所になります。
本番の舞台で「このピアノ合わないから弾けない〜」なんて言えないですよね。
ピアノさんに自己紹介して、よろしくね、というつもりで弾くほうがいいですよね。
リハーサルがあればとくに、その時間にしっかり仲良くなりましょう。
本番前のリハーサル時間、どうつかう?ピアニスト目線の5つの心得どんな音楽を奏でたいか?が一番大事
もう10年ほど前ですが、あるピアニストの方のサロン・コンサートに出かけたときのことです。
会場は古い文化会館のようなところで、建物は趣があって素敵でしたが、お世辞にも良いピアノとはいえない楽器でした。
最初の数分は、客席で聴いていても「あれ、音が出てこないな」「弾きにくそうだな」と思ってしまいました。
でもその方は、音が出にくいからといってそれ以上に力んで出すこともなく、もちろん鍵盤を叩くこともなく。
楽器に無理をさせずに出せる範囲で、大きく広がる世界を作っておられました。
その世界づくりはとても素敵で、途中からはピアノの音質についてどうこう思うこともなく、演奏にひきこまれていきました。
「そうか、一番大切なのは、どんな音楽が流れるか、なんだ」と感じました。
目の前にあるピアノの個性を生かす
それ以来、わたしも「そのピアノの中でいちばん美しい音を出そう、いちばん豊かな音を出そう」と意識するようにしています。
人間の顔が1人ひとり違うように、ピアノも1台ごとに個性があります。
古いピアノ、保管状態が良くないピアノ、響きが少ないピアノ、いろいろあるかもしれません。
でも!
立派なコンサートホールや、フルコンサートモデルのとびきり美しい音をもつピアノでなくても、その場所でいちばん素敵な音を心がける。
楽器から出る「物理的な音」に限界があったとしても、音楽的なイメージを広げていきます。
弾く人が「音、音楽」を描くことができていれば、聴く人の想像力や余白の中にも音楽が生まれ、広がるような気がしています。
- このピアノからこんな音がするなんて初めて知りました
- こんなきれいな音色を持つ楽器だったんですね
さいりえ
はじめてのピアノをこわがらないためには?
うさぎ先輩
さいりえ
ふだんから、こんなことに気をつけてみるといいと思います。
「美しい」「深みがある」「心にしみる」感性をみがく
・・・など、心にうったえるものにたくさん触れること。
そして、それらを感じる心を持つこと。
ある和音や音の響きに対して「なにか」を感じられるか、なにも感じないかの差は大きい。「0」と「1」の違いは大きく、1あればその先の感覚や創意工夫、表現の可能性は広がる。反面、「0」から「1」にするのは何かのきっかけが必要で、それすら不確実に思えることも。
敏感でありたいです。— 崔理英 / Rie Sai (@smomopiano) 2017年9月12日
1つの和音、一本のメロディも最大限素敵に弾く、弾こうとする
そのためには、
耳できくこと。
タッチを磨くこと。
音と音の「あいだ」や音の「のび」、響きの移り変わりを聴くことはときに難しい。でも本当に、それらを聴いて次の音を考えて出せば表情が変わるんですよね。違う楽器みたいな音が出る。「ピアノは物理的に鍵盤を押すだけ」とよく言われるけど、その動作に至るまでにたくさんの気づきや創意工夫がある。
— 崔理英 / Rie Sai (@smomopiano) 2017年7月19日
状況によっては響きの少ない環境で毎日練習することもあると思うけど、いつも「空間に音が響いていく」想像をしながら弾くことは絶対必要だと思います。
— 崔理英 / Rie Sai (@smomopiano) 2017年9月18日
経験が多いにこしたことはない
あらゆるピアノに対応するには、いろいろな楽器や会場で弾いた経験があるにこしたことはないです。
本番の経験はもちろん、自宅以外の場所をレンタルして練習するのも良いですね。
本番前にホールやサロンをレンタルして練習してみよう~新鮮な感覚・演奏へ~調律はかならずしてもらう!
ピアノの個性もいろいろですが、「音が狂っている」のはカバーしようがありません。
クラシック音楽の魅力である和声の美しさや調和した響き、さまざまな音色。
それらを最大限味わうためには、本番前に調律していただきましょう!
コンディションが良くないピアノだと調律師さんも手を焼かれることがありますが、きっと、本番の演奏のために尽力してくださいます。
準備も演奏も、ベストをつくしたいですね。
まとめ:個性あるピアノたちとの出会いに
どんなピアノにも即座に対応するのはむずかしいことですが、少しでも目の前のピアノと仲良くなれるといいですよね。
今まで、いろいろな場所で演奏してきました。
大ホール、リサイタルホール、サロン。
レストラン、教会、美術館、ロビー、体育館、音楽室、船の上。
電子ピアノでも!(例外的ですが、伴奏ですとたまにあります)
うさぎ先輩
さいりえ
これからもたくさんの個性あるピアノたちと出会えますように!
※この記事は、以前LINE@の質問コーナーでお答えした内容を発展させて書きました。
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