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ばね指って聞かれたことありますか?
ピアノを日々の仕事にしているわたしですが、1年ほど前から手の不調に悩まされ、「ばね指」と診断されました。
数ヶ月間の手の不調…ショックな出来事でしたが、できるだけ無理せず、あるがままに過ごした結果、特別な処置をしなくても調子が良くなってきました。
ところでバネ指(腱鞘炎の一種)ですが、ここまで良くなりました。
☝️左…今年2月。これ以上指を伸ばせない。関節が固まった感じ。ピアノ弾くにも違和感。病院に行き、練習もしばらく休む。
🖐右…8月。ほぼ伸ばせる。ピーンと張ったり、あまり酷使しないようには注意してる。弾くのはほぼ問題なし。 pic.twitter.com/p5rV76DRRJ
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) August 30, 2019
病気や不調は人それぞれですので、わたしの例がほかの人にぴったり当てはまることはないかもしれませんが、ひとつの事例としてこのブログにシェアしておきたいと思います。
※この記事は一般人の体験談です。専門的なことが知りたい方、実際に手の不調に苦しまれている方はお医者さんに行かれてくださいね。
ばね指は、腱鞘炎の一種です。
関節を動かす「腱(けん)」を複数まとめている「腱鞘(けんしょう)…ベルトのようなもの」が炎症を起こしているため、腱がスムーズに動かない=指の曲げ伸ばしがうまくいかない という状態です。
ピアニストの腱鞘炎というと手首付近を想像されるかもしれません(わたしもそういうイメージでした)が、指の関節にも腱鞘が存在し、腱鞘炎もあるんですね。
(写真…2019年2月。指が動かせない!)
まず、わたしの症状や当時の状況をかんたんにまとめます。
当時はこんな状態でした。
お医者さんによるとホルモンの関係もあるそうで、
という3つの要素が、とくにばね指を発症しやすいそうです。
では、違和感を覚えた1年前から、ほとんど良くなった最近までの経緯を書いていきますね。
ものすごく簡単に書くと、こんな感じでした。
軽い違和感→指が動かない!→病院に行く→とりあえず薬を塗って安静に→おそるおそる少しずつ弾く→幸い悪化せず、だんだん良くなる
やったこと
✔︎練習は休む(1-2ヶ月して少しずつ再開)
✔︎薬を塗る(ヒルドイドという軟膏。ほか飲み薬もあるそう)
✔︎日常生活でも、指に負担をかけないように気をつける(とはいえ負担はかかる)
悪化したら注射や手術もありえましたが、ひとまずホッとしてます。
※私個人のケースです
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) August 30, 2019
ではどうぞ!
最近、左手中指の関節がときどき一瞬曲がらなくてピンって張ってしまうのが気になってるんですが、これもしかして『ばね指』ってやつ…?
調べたところ
・妊娠出産期の女性がなりやすい
・指をつかう仕事の人がなりやすい
・中年女性がなりやすいうーむ・・・
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) October 25, 2018
昨年の秋でした。
左手の中指の関節がうまく曲げ伸ばしできないことが、時々。
具体的には、こんな感じ。
もともと「ばね指」という言葉をどこかで聞いたことがあったので、「よくわからないけど、ばね指っぽい…?」と思うこともありました。
でもピアノを弾く動作にはとくに影響なく、違和感もたまに気になる程度だったので、あまり深刻にはとらえず。
そのまま、数回のコンサート(アンサンブルと、ソロを数曲)を終えて2018年を終わりました。
年が明けたときには、
と決意して、40分+40分の新しいプログラムも考え、取り組みはじめていました。
年が明けてからの1ヶ月ほどは、2018年の1年間よりは日々の練習時間が増えました。
2月のデュオコンサートが近づき、4月以降の課題曲コンサートやソロコンサートもそろそろ…という時期。
スケジュール的に毎日長時間は練習できないので、1年かけてリサイタルのレパートリーを深めていこう!とけっこう意気込んでいました。
とはいえ、出産前に比べたら半分以下の練習時間です。
日々がバタバタと過ぎていき、ピアノの前に落ち着いて座れない日もありました。
子どもは10キロを超え、肩や背中、腕が痛い日もあり、夜中もまだまだ2〜3時間おきに起きる毎日。
仕事しながら毎日健康で無事に過ごすことに精いっぱいだったので、その上「めちゃくちゃ無理してピアノを弾いてる」というつもりはありませんでしたし、そこまで練習もできていなかったと思います。
ところが2月のある日、朝起きてみると
あれ…指がうごかない…
正確には、左手の中指と薬指の、第2関節より先の指がつっぱったまま、曲げ伸ばしがうまくできないのです。
(これはやばいかも…)
2〜3日様子を見ると、こんな感じでした。
コンサートも半月後だったため、あわてて病院に。
医療関係の家族から紹介してもらった整形外科の先生の診察を受けました。
レントゲンと触診、問診。エコーも撮ってもらいました。
うすうす予感していた通り、やはり「ばね指」と診断されました。
ひとことで言うと、
関節を動かす「腱(けん)」を複数まとめている「腱鞘(けんしょう)…ベルトのようなもの」が炎症を起こしているため、腱がスムーズに動かない=指の曲げ伸ばしがうまくいかない
という状態だそうです。
先生に指摘されて気づいたのですが、指の付け根がとても腫れ上がっていました。
考えられる治療法は以下の通り。
授乳をしていたので、ひとまず飲み薬はやめておき、塗り薬を処方してもらいました。
ヒルドイドという塗り薬。炎症をおさめるそうな。
リウマチなどの検査で血液検査も受けました(異常なし)。
ご迷惑をかけてしまいましたが、予定のコンサートは出演キャンセル。
しばらく安静にすることにしました。
【お知らせ】
秋から違和感があった指の状態が悪化したため、しばらく演奏活動をお休み致します。「休ませていたら治りましたよ!」との体験談も聞いたので、焦らず安静にしたいと思います!
コンサート関係者の方やお客様には申し訳ありません。よろしくお願い致します。https://t.co/4jr4yZ0PVI
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) February 24, 2019
それからしばらくは、とにかく安静にしました。
こんな感じで過ごしました。
自分の練習は、完全に休むことにしました。
レッスンでも、左手のパッセージを右手で弾いたりして、ほとんど左手を使わないようにしました(使おうとしても動かないし)。
そして日常生活でも、左手の中指と薬指をできるだけ使わないように意識。
でも、難しいものですね!
…など、日常生活で指を使うことってこんなに多いんだ…!と改めて感じました。
指を痛めていると普段いかに指を使っているか?と逆に気づきます
・爪切り
・服を着る、靴下を履く
・シャンプー
・自転車や車のハンドルをにぎる
・ペットボトルの蓋あける
・お皿洗う
・育児全般
(まだまだ多数)利き手じゃないからまだマシですが・
指さんいつもありがとう。大事にしてあげよう— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) March 2, 2019
幸い、利き手の右手は痛くなかったので良かったのですが、いろいろ右手にやらせてしまうので右まで痛めないか少し心配ではありましたね。
子どもの抱っこも、いつもより減らしました。
あいかわらず、症状はこんな感じでした。
とりあえずお医者さんとも相談し、2ヶ月くらいは薬と日常生活で様子を見ることに。
お医者さんも、「ピアニストの手に注射やメスを入れるのは最終手段にしたいなぁ」と仰っていました(でもこの先生、ご自分でばね指を発症し、手に注射されることがあったそうです!)。
この時期、生徒さんのお母様や知人の方から
「わたしも出産後にばね指になりましたよ〜!少し手を休ませていたら1年くらいで勝手に治ってました!」などと伺い、勇気づけられました!
また、大学の同期の友人ピアニストから、「手の調子は大丈夫?こんな専門医がいるよ」と、東京の病院も紹介してもらいました。
信頼できる情報が得られたことで、少しの安心感もありました。
ピアノを弾く動作は、指を極端にピンと伸ばしたり急に曲げたりはしないので、調子が良い日は「ちょっとなら弾けるかも?」と思う日も出てきました。
そこで、動きのすくない曲から少しずつ再開。
まずはバッハのシンフォニアや組曲などから始め、小学生や中学生のレッスンでは問題なく模範演奏もできるようになってきました。
今日の午後は、指のリハビリと生徒さんの選曲をかねてイギリス組曲を弾く。
(リハビリにというと曲に失礼な気がするけど、指への負担は少ないんです)
バッハが見ていた世界の深淵と崇高さにはひれ伏す・・・6番の Sarabande…Gigue とかもう。 pic.twitter.com/kK78xy9nCn
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) April 20, 2019
Youtube向けの録音も。
そのうち、ラフマニノフのソナタの2楽章を少しずつ読み始めました。
意外とラフマニノフは大丈夫でしたね。
とくに、指が語る、歌うタイプのタッチは大丈夫でした。
「突く」「まっすぐ打つ」ようなタッチは、まだまだ指に負担がかかる感じがしました。
この頃、コンサート出演のお話がありました。
正直なところ、それまでは
などの不安、怖さがあったので、しばらくコンサートの予定は作らないつもりでいました。
(プレッシャーや不安が、より症状を悪化させるのではとも思っていたので)
でも、このときに声をかけてきてくださったのはオンガージュサロン主宰の呉多美さんで、わたしがもっとも信頼する方のひとり。
そしてオンガージュサロンさんは、ピアノを演奏するという一面だけでなく、わたしという人間を受け止めてもらえる場であり、わたしという人間で何かその場に意味を(小さくても)届けられそうな気がする、そんな場なのです。
決して甘えるわけではないですが、
という、漠然とした安心感のほうが大きく
「弾きたい!」
と、まず率直に思いました。
その直感を信じて思い切って引き受け、その日に向けて曲も手も準備していこうという思いになりました。
そのコンサートはこちらです↓
ここで復帰1曲めにハードなラフマニノフのソナタ(全楽章)を選ぶというのはチャレンジでしたが、きっと大丈夫だ、弾ける、という予感がありました。
そのくらい、わたしにとってパワーのある曲を選びたかったのかもしれません。
そうそう、この頃からホットヨガに行き始めました。
何事も、冷えは体の天敵。
などを目的に、通うことに。
はじめ、手の指をぐーっと広げるポーズのときは、やはり痛みましたし、十分に伸ばせません。
そんなときはインストラクターの方から「無理しなくて良いですよ」と言ってもらったので、左手の先には負担をかけないように気をつけつつ、全身を動かしあたためるように。
それもあって、からだの巡りはだんだん良くなってきました。
たまにマッサージしてもらうことも!
レッスンの合間にピアノの隣で出張リフレクソロジー。ほっこり😊✨
ピアニストやピアノの先生のお客さんもちょこちょこ来られるそうです。座りっぱなしだし下半身の代謝が落ちやすいのかな。 pic.twitter.com/Xwt3esEO30
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) April 27, 2019
たまに朝起きたときに指が突っ張っていたりと、気になることはありましたが、冬よりもずいぶん良くなっていました。
できるだけ指を酷使しないように気をつけつつ、少しずつ練習時間も増やしていきます。
(参考)わたしが通っていたホットヨガはこちらです。
2019年7月には、ばね指を発症して以来はじめてのデュオコンサート活動も再開。
そして9月には、上に書いたオンガージュサロンでのコンサートと、ホームコンサートでのソロ演奏も行いました。
そのときの演奏がこちらです。
また直前に痛くなったら…と少し心配でしたが、コンサートでも痛みも違和感もなく弾ききることができました。
現在は指も完全に伸ばすことができ、9割方治った!と思っています。
でもあまりピンと強く張ることはせず、少し気をつけながらの生活です。
ところでバネ指(腱鞘炎の一種)ですが、ここまで良くなりました。
☝️左…今年2月。これ以上指を伸ばせない。関節が固まった感じ。ピアノ弾くにも違和感。病院に行き、練習もしばらく休む。
🖐右…8月。ほぼ伸ばせる。ピーンと張ったり、あまり酷使しないようには注意してる。弾くのはほぼ問題なし。 pic.twitter.com/p5rV76DRRJ
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) August 30, 2019
この記事では、ピアノを仕事にするわたしが、指の腱鞘炎〜ばね指〜を患ってから、少しずつ回復するまでのことを書きました。
いまは、このように指も動きます。
今日は家族の協力あって、一日ピアノに向かえることに!(レッスンは1名アリ)
本番2日前なので通したり。
通し練習約25分&本番への改善&調整ポイントはオンラインサロン(https://t.co/u2DnmIV1dd)で公開します。
(全公開はまだ抵抗アリ…でももし需要があるのならば??方法を考えてみたい) pic.twitter.com/F3MxUUMbBs
— さいりえ / 崔 理英 ( Piano ) (@smomopiano) September 13, 2019
振り返れば、いろんな要素が重なってのばね指発症だったように思います。
練習しすぎが原因ではないハズ(それなら、今年より前になっていた)。
幸い重症にはならず、薬と日常生活で快方に向かい、とてもホッとしています。
はじめにも書いたように、あくまでわたしの症例ですので、手の調子が悪く悩まれている方はお医者さんに行かれてくださいね。
この記事がどなたかの役に立てば幸いです。
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