複数の先生にレッスンを受けるってどうなの?メリット・デメリット・注意点

複数の先生にレッスンを受け続けるメリットとデメリット

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前回の記事で、「ひとりの先生に継続的にレッスンを受けることによる良いところと注意点」を書きました。

続編の今回は、複数の先生のレッスンを受けることのメリットやデメリット、そして注意点を、生徒編・指導者編に分けて書いていきます。

〜ひとこと〜

この記事では、学生さんなどで、継続的に特定の先生のレッスンに通っている生徒さんについて書いています。卒業していたり社会人だったりで、とくに特定の先生にレッスンを受けておらず、いろんな先生のレッスンをたまに受けている、というケースは含まれていません。

複数の先生にレッスンを受けるメリット(生徒編)

まずメリットには、こんなことがあると思います。

(生徒側)

  • ふだんの先生とちがう視点からアドバイスを受けられる
  • 専門性の高い指導を受けられる
  • 新たなご縁がつながる

ちがう視点からのアドバイスを受けられる

ひとりの先生が長年レッスンしていると、どうしても視点が限られてしまいます。

どんなに能力が高く視野の広い先生であっても、です。

さいりえ
人間、ひとりひとり違うんだから、当たり前ですよね

セカンドオピニオン的に、いつもと違う視点で受けるアドバイスは、きっと新鮮で学びがあるでしょう。

専門性の高い内容の指導を受けられる

また、指導者によって専門性もさまざま。

  • 古典派が得意な先生/近現代を専門的に学んだ先生
  • ドイツで長年専門的に学んだ先生/ロシアンピアニズム専門の先生
  • 小さい子どもに教えるのが得意な先生/大学生メインに教えている先生
  • 生徒の気持ち、悩みに寄り添える先生/音楽は何たるかを教えてくれる先生

ここに挙げた例はほんの一例で、指導者の数だけ個性と得意分野があります。

教わる人の悩みや段階、目標によって、ほかの先生のレッスンを受けることは学びをとても広げ、深めてくれます。

新たなご縁がつながる

はじめて会う先生のレッスンを受けるということは、新たなご縁のはじまりでもあります。

新たな視点や世界、そして新たな音楽と触れることは学びや刺激になりますね。

また、いま習っている先生とどうしても合わない、不満があるなどの場合、新しい道がひらけることもあります。

複数の先生にレッスンを受けるメリット(指導者編)

では、ふだん教えている生徒がほかの先生にレッスンを受けることで、指導者に良いことはあるのでしょうか?

これまでの経験をもとに、書いてみますね。

(指導者側)

  • 自分の足りない部分をカバーしてもらえる
  • 生徒経由でちがう視点の考え、指導内容を知ることで勉強になる(こともある)
  • 生徒のちがう一面を知ることができる

自分の足りない部分をカバーしてもらえる

上に書いたように、ひとりの指導者でできることには限界があります。

自分が不得意な部分や見えていなかったこと、時間やキャパシティが足りなくてできなかったことなどを、ほかの先生がピントをあわせて的確に教えてくださったりすると、助かることも多いです。

ちがう視点の考え、指導内容を知ることで勉強になることもある

長年レッスンをしていると、(日々、より良くしようと努めてはいますが)どうしてもやり方なども固まってきます。

そんなときに、ふだんの自分のレッスンとは全然ちがう視点から生徒にアドバイスをしていただけるのはありがたいです。

また、聴講したり、後から「こんなレッスンだった」と聞くことで、「なるほど!」と学びになることも多いです。

生徒のちがう一面を知ることができる

レッスンは一対一なので、演奏力や音楽の内容だけでは語れない部分も多いです。

レッスンを受ける相手とのフィーリングやコミュニケーションによって、すごくイキイキしたり、ふだん隠れていた一面が引き出されることも。

Aさん 対 わたし

のときに見えていたAさんと、

Aさん 対 ◯◯先生

のときに現れるAさんは、

同じ人間ですが、ちがう一面、ちがう顔を持っています。

それが演奏にあらわれることも!

そんな、いつもとちがう一面を知ることができれば、今後のレッスンにも生かせるかもしれませんよね。

複数の先生にレッスンを受けるデメリット(生徒編)

つぎに、デメリット、起こりやすい弊害です。

メリットもたくさんあるのですが、実はデメリットも見過ごせないので、注意してもらえたらいいなと思います。

(生徒側)

  • 指導内容、もしくは伝達不足によって混乱する
  • レッスン内容を消化できない
  • 基本的なことができていない場合、同じようなことを指導されて終わることもある
  • もとの先生とのコミュニケーションに害をおよぼすことがある

混乱してしまう

まず、指導内容の違いから、生徒さん自身が混乱してしまうことがあります。

とくに本番直前にいきなり違うことを言われて、どうするか心を決めきれないまま本番に立ってしまっては良くないですよね。

また、実は各先生は本質は同じことを言っているのに、説明のしかたが違ったり、生徒が言葉の表面しか捉えられなかったりして、本質が同じであることに気づかないで混乱してしまうこともあります。

レッスン内容を消化できない

あちこちちがう先生のレッスンを受けていると、じっくり内容を消化できないままに次のレッスン・・・となり、十分に学べないこともあります。

本来、ひとりの先生のレッスン内容を自分なりに理解し、応用して練習していくだけでも膨大な時間がかかるはず。

それを[×2]、[×3]とやっていけば、時間も足りなくなり、薄まってしまうこともあります。

同じようなことを指導されて終わる可能性がある

  • 基本的な譜読みができていない
  • いつも先生に言われてもなかなか改善しない部分がある
  • 音の出し方に悪いクセがあってそれを修正している最中

などの場合、ほかの先生のレッスンに行っても同じようなことを指摘・指導されて終わることもあります。

「ふだん、こんなことがうまくいかないんですが・・・」とコミュニケーションをスムーズにとれれば、これまで見つからなかった解決の糸口がもらえるかもしれませんね。

ふだんの先生とのコミュニケーションに弊害がおよぶ可能性がある

円満にほかの先生のレッスンを受けられれば問題ないです。

ただ、秘密で受けて、ぜんぜん違う弾き方になってしまえば、先生が「あれ、いきなりこんな弾き方して、どうしたんだろう?」と思うのも当然ですよね。

そこでちゃんとコミュニケーションをとれれば良いのですが、うまくいかない例もきいたことがあります。

だれのレッスンを受けるかは本来その人の自由ですから、指導者側が「絶対ダメ」と制限する権利はありません(特殊な事情がある場合は除きます)。

ただ指導者も、長期的な計画や生徒の状況などいろいろ考えていることがありますし、信頼関係もあります。

あまりに失礼なやり方をしてしまうと「裏切られた」「恩を仇でかえされた」と思われてしまうかもしれません(わたしはそういうふうには思わないですが、ちょっと熱意が冷めることはあります…)。

複数の先生にレッスンを受けるデメリット(指導者編)

では、指導者側に起こりやすい問題やデメリットです。

以下はわたしの体験上、思ったことがある内容を書いています。

(指導者側)

  • 生徒がほかの先生のレッスン直後で消化できていない場合、レッスン内容に迷うことがある
  • 明らかに音楽観がちがうレッスンを受けてくると、レッスン内容に迷うことがある
  • 信頼関係を築きにくいこともある

ほかの先生のレッスン直後の場合、レッスン内容に迷うことがある

生徒がほかの先生のレッスンを受けてきて、まだその内容を消化できていない場合、わたしのレッスンでどうしようか迷うことがあります。

たとえば生徒がやりたい演奏に対して、Aの方法で取り組んでみては?と思っても、ほかの先生のレッスン直後でBに取り組んでいる最中だと、わたしはAが良いと思っていても、せっかく受けてきたんだし・・・とBに合わせることもあります。

正直、迷ってしまうことはありますね。

明らかに音楽観がちがうレッスンの場合、困ることがある

明らかにわたしと違うなぁ、と思う音楽観のレッスンを受けてきた場合は、戸惑うことがあります。

ただ視点や方法がちがう場合は良いのですが、

「音楽とは」「この作品は」「この作曲家は」みたいな根幹の部分があまりにも違うと、戸惑います。

全然知らない方のレッスンを受けてきた、となると、たまにそういうことがあります。

(例・過剰な装飾が必要ない部分や作品で、こと細かに大きく、小さくなどの表現を習ってきた、など)

 

また、長期的な視点でやっていることに対して、短期的な視点でアドバイスを受けると、ちょっとかみあわないこともでてきます。

レッスンでは、わたしが音楽において大事だと思うことを伝えるようにはしていますが、ほかの先生に遠慮して、ふみこめないことがあるので、なんだか回り道してしまっているように感じることもあります。

信頼関係を築きにくい場合がある

信頼関係とは、お互いに築くものですよね。

極端な話、もし秘密でレッスンを受けてきて、目の前のレッスンに集中していない、目の前の先生を信頼できないのであれば、信頼関係は壊れます。

(今の先生とうまくいっていない場合は、問題点を整理してもう一度自分と音楽について考え直し、どの方向に進むのか考えたほうがいいでしょう)

 

そこまでいかなくても、指導者側として気をつかってしまうことはあります。

わたしも、生徒さんがほかの先生のレッスンを受けるのは全然かまわないのですが、それによってふだんのレッスンができなくなってしまうことがありました。

音楽の答えはひとつではないので、ふだんから「こんなアプローチもあるよ」と提示して、生徒さんに選んでもらうことも多いです。

そのとき、ふだんから信頼してくれていれば、自信をもって「こうしてみようよ!」と言えるんですが、ほかの先生にはこう言われました、と聞いたら「うーん、じゃあそれで」と思ってしまうこともあります。

これはコミュニケーションを深める努力をわたしが怠っている面もあるのかもしれません。

わたしの性格の問題もあるとは思いますが・・・いろいろ考えてしまうことはありますね。

複数の先生のレッスンを受けるなら気をつけておきたい注意点

では、あなたが複数の先生のレッスンを受けるときにトラブルを回避し、良い学びを得るために必要なことを書いていきます。

  • 先生の了解を得るか、秘密で受けるなら自分の責任で選択・消化する
  • 受けるタイミングに気をつける
  • いま自分がすべきこと、自分の演奏に必要なことを見きわめる、判断する
  • 自分の中に確固たる音楽観と芯をもつ
  • 複数の先生のレッスンを受けることによるデメリットもありえることを頭に入れておく
  • 相手に最低限〜の敬意をもつ(人として失礼なことはしない)

このあたりに気をつけていけば、有意義に複数の先生のレッスンを受けられると思います。

基本的には、ふだんから習っている先生と方向性を共有できていることが、良い方向にレッスンを受けるための大前提かなと思います。

とはいえ、世の中いろんなケースがありますので…場合によりますね。

わたしの考え

わたしも、生徒さんに「◯◯先生のレッスンを紹介しようかな」と思うことはちょくちょくあります。

でも、セッティングする時間がなかったり、まだ譜読み段階だからもう少し先かなぁと思ったりして、実現できなかったりすることも。

それで、前回も紹介したこのツイートが浮かんできたわけです。

正直なところ、自分が人間的にも音楽的にも信頼している方のレッスンならとてもスムーズで安心ですね。

もっと気軽に、いろんな方の指導を受けることでさらに良い方向にいけるといいなと思います。

さいりえ
親だけでなく、まわりの大人みんなで子育て、という感じに似ているかも?

まとめ〜健康的にレッスンを受けよう!〜

この記事では、ふだんと違う先生にレッスンを受けることによるメリットやデメリットを紹介しました。

いずれにしても、健康的にレッスンを受けられると良いですよね。

なにか参考になれば幸いです。

 

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