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本番前のリハーサル時間、どうつかう?ピアニスト目線の5つの心得

本番当日に行われる “リハーサル”。
この時間を有意義につかいこなすことって、実はけっこう難しくないですか?

もも

こんどのピアノの発表会で、リハーサル時間を3分もらえるんだけど、何をしたらいいかなぁ

うさぎ先輩

わたしのこんどのリサイタルは、リハーサル3時間よ。どうしたらいいのかな?
リハーサルが原因で本番がうまくいったりいかなかったり。
あるときは、リハーサルがまったくない!ということも。

さいりえ

リハーサルの時間をうまくつかって、本番に生かしたいよね!
今日はそんな“リハーサル”について考えてみます!

リハーサルは意外とむずかしい?

実はリハーサルというのもなかなか難しく、それがあるために変に意識してしまって本番失敗するということを、わたしは何度も経験したことがあります。

リハーサルが原因の、よくある!?失敗例

リハーサルが原因で本番うまくいかなかった、という例です。

※すべてわたしが経験したことです

  • ケース1:リハーサルで弾いたときに、ピアノ(楽器)に良くないイメージ(弾きにくいな、音が出ないな、など)を持ってしまって、本番でもそれを引きずってしまった
  • ケース2:リハーサルでミスしたりして急に不安になった箇所を気にして、本番で失敗してしまった
  • ケース3:リハーサルで思いのほかうまくいきすぎて、本番でそれ以上の演奏を、と思うとなんだかうまくいかなかった

リハーサルがうまくいかなくてもだめ、うまくいってもだめ・・・って、一体どうすりゃいいんだ!と思いますよね。

リハーサルが原因でかえって不安になってしまうことも

さいりえ

ここで1つ、わたしの失敗エピソードをご紹介しますね

高校生のときの大きな本番で、12分の曲を弾く前に、別室のリハーサルが10分程度与えられました。

全部弾けないので、しかたなく「いちばん心配がなさそうなところ」を抜かして、ほかの部分を通して弾きました。

ですが、すぐあとの本番の舞台で、その抜かした部分で急に不安になってしまって、わっとテンポが乱れてしまいました。

気合を入れていた本番だっただけに、ものすごく悔しかったです。

 

この理由は、「リハーサルで弾かなかったから」ではなく、「自分で勝手に不安になってしまったから」だと思います。

実際その本番までには、リハーサルがなくてもイメージ通りに弾けるくらいに準備してきたつもりでした。

しかも、本番の会場やピアノではなく別室の狭い部屋でのリハーサルでしたから、それならばリハーサルがなくても良かったとさえ思ってしまいます(タラレバなのでわかりませんが)。

この悔しい経験のあと、リハーサルの時間のつかい方についてはよく考えるようになりました。

リハーサルの心得を考えてみた

そんなわけで、わたしがいつも意識している、5つのポイントです。

1. リハーサルで必ず全曲弾かなければ、とは思わない

全曲弾いてももちろん良いんですが、「全曲弾かなきゃダメ」「全曲弾けなかった、どうしよう」という思考は危険なので、弾かなくても大丈夫、と、どーんとかまえます。

2. リハーサルでなにか自分の根本的な問題を解決しようと思わない

よくあるのが、舞台上で気になるところを練習してしまうパターンでした。

もとから問題のあることが、リハーサルの短い時間でいきなりできるようになるなんて、まずありえません

  • リハーサルで解決したい課題(例:ペダルの確認をしたい場所、響きやタッチの確認をしたい場所など)
  • 家で、前日までに解決したい課題

を、分けて考えます。

3. リハーサルで新たな悪いイメージを作らない

それまで良い気分だったのが、リハーサルが原因で消極的になってしまうともったいないですよね。

それこそ、やらないほうがマシだった・・・と、なりかねません。

とくにピアニストは、リハーサルでその楽器を初めて知るということもあるので、そこで悪いイメージを自分に植え付けないように意識します。

もし、なにか気になることがあれば対策を考えます。

ピアニストの悩みは「自分の楽器を持ち歩けない」こと?本番のピアノに対応したい!

4. リハーサルと本番は、あくまで別物である

リハーサルで行ったことは参考にはなりますが、本番に影響しすぎないようにします。

実際、がらんとしたホールでのリハーサルと、開演後の熱気やお客さまの人数、衣服などでも響きはガラッと変わりますし、そのままとはいかないですよね。

あくまで、本番のそのときに自分の音と音楽をよく聴いて弾くこと、またそういう精神・身体状態で舞台に上がれることが理想だなと思います。

5. 最後に「よしっ!」と言って(思って)終われるようにする

わりとこれ、わたしにとって重要です。

リハーサルが長くても短くても、最後にピアノから離れるときに

さいりえ

よしっ、これで気持ちよく本番に向かおう!

と言えるように心がけています。

誰のためのリハーサル?時間を主体的につかおう

「リハで何しようかな?」と主体的に考える

もも

でも、なんでリハーサルの時間をなかなかうまくつかえないんだろう?

これはおそらく、幼いころから

リハーサル時間は「与えられるもの」

という経験が多かったからだと思います。

3分だけあります、その中で弾いてください。

というような。

それでリハーサル時間に対して受け身になってしまう、自分以外のなにか・誰かのペースで動いてしまっている。

あなたも、そんな意識はありませんか?

そんなときは、リハーサルは自分の意志でつかえる、好きなようにできるという意識に切り替えちゃいましょう。

近ごろは、主に「ホールの響きや楽器の確認のため(アンサンブルの場合はバランスの確認も)」と思うようにしています。

逆に、「本番で失敗しないため」「不安なところを弾けるようにするため」という意識はほぼありません。昔はそう思っていたこともありましたが。

リハーサル時間のつかい方も人それぞれ

アンサンブルの場合、共演者の考え方によっても異なります。

  • 本番のように本気で通し演奏をする人
  • 本番にエネルギーをとっておいて、リハーサルではポイントの確認をする人
  • その中間の人

わたしもいろいろやってみましたが、今は2と3のあいだくらいかな?(中間の中間ってややこしいなぁ)

最近はリハーサルの音声や映像を撮影することもあり、その場合は「リハも本番」というつもりで、本気で通し演奏することもあります。

歌やほかの楽器の方と共演するときは、共演者に合わせることが多いですが、事前に相談することもあります。

でも、いろんなケースに遭遇します。

とくに海外の歌の方と共演したときの出来事が印象的でした。

彼らは、リハーサルでは高音をほとんど出さなかったんです。

曲の一番盛り上がる部分で、1オクターブ下げて歌ったり、ほとんど黙っていることもありました。

声楽家の「声」は消耗品のようなものなので、1日に何度も使わないようにしていると、その方は仰っていました。

さいりえ

本番に最高のパフォーマンスができるように、温存することもあるんやなぁ

この出来事はけっこう衝撃的で、それ以来、わたしもアイディアの一つとして取り入れてみました。

ピアノは何時間でも弾こうと思えば弾けるかもしれませんが、体力や集中力、精神力などはずっと最高レベルでキープできるわけではありません。

その日の体調やプログラムによって、いろいろ変えています。

レッスンでも事前に確認

コンクールや試験、発表会でリハーサルがあるとき、事前に「何をしたいか」「時間をどう つかうか」を相談・確認しておきます。

わたし自身が、リハーサルであせって不安になって・・・ということを何度も経験したので、生徒には「リハーサル時間のつかい方は自分で選択できる」ということを知ってほしいからです。

当日のリハーサルがないとき、どうしたら良い?

さて、さいごにこの問題について。

こちらは、LINE@「さいりえのピアノレッスン室」の質問募集からもご相談いただいた内容です。

結論から言うと、

さいりえ

できないときはしかたないので、気にしません!

リハは、あったほうが有り難いですが、リハがないと不安でしょうがない、という強迫観念やマイナスイメージは持っていません。

リハーサルがあってもなくても、本番の舞台上で聴きながら作っていくことは同じなので、それに集中するようにしています。

リハがないと不安、という方は、もしかしたらその不安の一部分は思い込みかもしれませんよ?

「もしかして、リハがなくても大丈夫なんじゃない?」と思えたら、一発勝負の本番でも思い切って弾けるかもしれません。

・前日までに十分準備をしておく
・弾けないかもしれない・・・という不安を減らし、大丈夫!楽しみ!という気持ちをもつ

(そのためのオススメ記事→曲が仕上がらない!間に合わない!と焦ったら?〜本番・コンクールの直前に〜本番の緊張には事前のイメトレが役に立つ!すぐできるイメージトレーニングの方法
・はじめての会場やピアノに対してのマイナスイメージを減らす

一度、不安となる要素をできるだけ減らして、考えを切り替えてみてください。

まとめ〜リハーサルはあなたの味方〜

今日はリハーサルの時間について書きました。

本来は、リハーサルはあなたの本番の演奏を輝かせてくれるはず。

だいじなのは、自分(アンサンブルのときは相手も)が納得できる時間のつかい方ができるかどうか、かなと思います。

ぜひ積極的にとらえて、リハーサル時間を味方につけてください!

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