この記事には前編があります。
そちらを先にお読みください。
前編では、指づかい(運指)がいかに大切な要素の一つかということ、そして指づかいを選ぶときの大きなポイントを3つご紹介しました。
今日は、実際に弾いていくとき、どうすれば「良い指づかい」に出会えるか?
ということを3つのステップで書いていきます。
3つのステップに書かれていることがよくできてくれば、最終的には自分の指や手に合った最適な指づかいに出会えるようになると思います!
もくじ
まずは、楽譜に書かれている指番号をきちんと見て弾くことができる
楽譜には、指番号が書かれているもの、複数の選択肢が書かれているもの、全く書かれていないものがあります。
(この指づかいには、理由があります。※ベートーヴェン:ピアノソナタ第12番 Op.26 終楽章より一部)
楽譜に指番号が書かれていたら、まずはそれを守って弾いてみましょう。
わざわざ苦労しなくていい
しばしばありがちなことなのですが、譜読みするときに適当な指づかいで弾く、わざわざ難しい指づかいで弾いてしまっているということがあります。
これはいくつか理由がありますが、
- 指づかいを重要視していない
- 曲が難しかったりで、他のことでいっぱいいっぱいになって楽譜の指番号を見るところまで気が回らない
- 合理的な指づかいや自分に合った指づかいを実感したことが少なく、何が良いかわからない
などが大きな理由でしょう。
楽譜の指番号が絶対にベストとも限らないのですが、なんとなくはっきりしない指番号で弾くよりは確実に良いので、
はじめはじっくり楽譜を見ながら、ぜひ楽譜に書かれた指番号に今まで以上に注目してみてください。
「ここは〜〜だからこの指がいいな」と自分で判断できるまでは、まずは楽譜の指番号を守ることから始めましょう。
これが第一段階です。
「もっと良い指づかいはないだろうか?」と考え、試してみることができる
前回の記事で書いたように、指づかいの答えは一つではなく 人によって違うことがよくあります。
そして、世の中の出版されている多くの楽譜も、版によって書かれている指番号が異なります。
複数の指番号が書かれていることも、もしくはまったく書かれていないこともあります。
複数の選択肢から「選ぶ」
たとえば、同じ1部分に対して [a],[b],[c] と3通りの指づかいがあったとします。
[a] はどう考えてもおかしい、メリットの無い指づかいだとします。でも、[b]か[c]かは、どちらでも演奏への影響は変わらない。
もしくは、ある人には [b] が合うけれど、ある人には [c] のほうが弾きやすい、ということがありえます。
となると、[b]と[c]でベスト、ベターな指づかいをその都度選択していくこと・選択できることが必要になります。
また、どちらでもほとんど変わらないところはあまり深く考えないで決めてしまうことも一つです。
はじめは1人では難しいかもしれないけれど
たとえば今までバッハの2声を弾いていて、初めて3声の曲を勉強するときなどは、自分で指づかいを考えることはかなり難しいと思います。
指の使い方が、全然違うからです。
でも、今まで経験があることであれば、自分で一箇所でも考えてみることができれば、表現の幅も広がります。
レッスンで先生に教えてもらったり相談したりしてたくさんの経験を積みながら、
だんだんと自分でいろいろ試して考える力を身につけていきましょう。
それが、次のステップです。
そのためにも、自分に合う、得意な指づかいを知る
自分に合う指づかいの引き出しを多く持って、知っていれば、それを選ぶことができます。
ベストな指づかいを見つけて、
「わっ、素敵な音で弾けた!」「こっちのほうが弾きやすかった!」
と実感できれば、新しい曲でもそれに近い指づかいを選ぶことできるようになります。
これは、指づかいに限らないのですが、たくさん良い経験、実感をしていれば、次の曲に生かすことができるのです。
それを続けていくことで、また表現の幅も広がりますね。
指づかいを決める(変える)タイミングは、いつでもありえます
- はじめに練習をしているとき。1回目のレッスンで。
- 理由はわからないけど、なんだか弾きにくいなぁ・・・と気になってきたとき。
- 表現したいイメージが変わってきたら。
本番直前、などでしたらかえって対応できないのでやめた方が良いこともありますが、本番の舞台で弾いてみたら発見があったら、その後もう一度変えることもあります。
わたしもつい先日、同じ曲を2度ほど演奏会で弾いた後に、急にパッと「あ!ここはこの指の方が良い!」と思い、いきなり変えたこともありました。
必要なときは勇気をもって変えてしまうことも大切です。
まとめ:自分自身の手と、仲良く付き合っていく
人の手は一人ひとり違います。
「完璧な手だ」と言われる人もいますが、誰でも自分の手に少なからず悩みを抱えることがあるのではないでしょうか?
たとえば、わたしの手。
好きなところは、指が長いことと、てのひらが柔らかく伸び縮みできること。
ですが、てのひらが薄いこと、ガッチリ感が少ないことが悩みです。
てのひらが分厚い人のドッシリ密度の濃い音に、憧れます。
そういう人の弾き方を見て研究することもあります。
また、それとは違う自分の良いところはないだろうか?
と、自分の手を生かした指づかいを考えたり、弾く曲や、出したい音を考えるようにもしています。
人の手は一人ひとり違うので、あなた自身の手と上手に付き合っていくこと、そしてあなたが自分の手をよく知って一緒に成長していけたら素敵ですね。
そして、指づかいを通して、あなたらしさが見つかりますように。