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ハノン・スケールとアルペジオの使い方。ただの指練習じゃない!

ハノンのスケールとアルペジオの活用法

こんにちは、さいりえです。

ハノンのスケール・アルペジオはどんなふうに使っていますか?

  • むか〜しやったきり
  • 受験や試験のためにやるんでしょ?
  • 今も指ならしに弾いてるよ

いろんな方がおられると思います。

でも、スケール・アルペジオはもっといろんな場面で役立つんです!

この記事では、全調のスケール・アルペジオ、そしてカデンツ(ここでは、終止形の和音連結のことを言います)をピアノの練習や演奏に役立てる方法をご紹介します。

今日からスケール・アルペジオをもっと弾きたくなっちゃうかも?

指の練習のために

まず、スケールとアルペジオは基本的な技術習得に役立ちますよね。

その理由はいくつかあります。

  • 指の独立の練習になるから
  • ピアノのテクニックの重要な要素の一つ、「親指の動き」の練習になるから
  • クラシックの曲の多くが、分解していくとスケールとアルペジオでできているから
  • 全調で練習できるから
ここまでは、誰もが納得するポイントだと思います。

ほか、どんなふうに使えるんでしょうか?

調性を覚え、調性感を養う

スケールとアルペジオでは全24調を弾くことができるので、調の基礎知識を身につけ、調性感を鍛える大チャンスです。

スケールで音階固有音を覚える

それぞれの調が持っている音を覚えます。

曲の中で、和声音と非和声音を判断する力になりますし、調判定にも必ず必要です。

音階固有音の感覚が身についていると、譜読みも正確になってきますよ(読み間違いをしても気づくことができる)。

調号が多い調やダブルシャープが出てくる調など、混乱しそうになったら「ソラシドレミファ…」など、音を口で言いながら弾くのもおすすめです。

カデンツで基本的な和声を覚える

T-S-D-Tの基本的なカデンツの形、響き、手の動きを覚えられます

カデンツだけ取り出して、響きを聴きながらぱっといろんな調で弾いてみましょう。

「◯◯調」→カデンツを弾く、「△△調」→弾く、というふうにどんどん弾いていきます。

応用可!

ばっちり覚えられたら、カデンツの和音を変えて弾きます。

展開して形を変えたり、Ⅱ度の7の和音をⅣ度にしたりドッペルドミナントにしたり。

T-S-D-TのSの部分を、違う和音にするわけですね。

もちろん、もっと自由に変えてもかまわないと思います。

慣れてきたら、違う形にもチャレンジしていくといいと思います。

アルペジオで、和音の響きとタッチの関係性を確かめる

アルペジオはⅠ度の和音で構成されています(主和音)。

C-durとc-moll のアルペジオを、まったく同じタッチ、でガンガンと弾いてしまうと、もったいないです。

「ハノンは指の練習。ミスなくしっかり弾けばいいよね?」と思っていると、それ以上の創意工夫ができませんが、

それぞれの調の響きを感じよう、と思って弾いてみると、全然ちがうことに気づきます。

よく聴きながら1音ずつじっくりと打鍵していきます。

こういう練習をしていると、曲を弾くときにも役立ちます。

異名同音の調もやってみよう!

ここまで、「全24調」と書いてきましたが、実はハノンなどのスケール・アルペジオには出てこない調もあります

たとえば、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」や、ショパンの舟歌Op.60に出てくる嬰ヘ長調(Fis-dur)。

これは、スケールの楽譜をいくら探してもありません。

ハノンでは変ト長調(Ges-dur)で書かれています。

鍵盤上では同じだけど、ちがう調(異名同音の調)なので、それを意識しながら弾いてみてください。

大きくガラッと何か変えるわけではなくても、「あ、なんだか違う感覚だな」などと、意識できれば良いと思います!

さまざまなタッチ・音色・アーティキュレーションの習得・確認に

ピアノ曲の楽譜にはたくさんの音が書かれていて、情報を処理しきれず、表現や音色まで意識がまわらないこともあると思います。

本当はそうじゃないはずなのに、とりあえずバタバタっと音を鳴らしてしまったり…。

 

でも、スケールとアルペジオは、いちばん基本となる形。

だから、「初心にかえる」「余計なことを気にしない」で弾けるのが良いところです。

 

わたしは、何かの曲のレッスンをしているとき、よく

「この曲と同じ調のスケールを、この曲のイメージ、タッチ、音色で弾いてみよう」

と言います。

 

そして、シンプルなスケールに戻して、大事に弾いてもらいます。

たとえばこんな感じ。

  • G-durの明るい曲なら、くっきりと離鍵した素早いタッチで。
  • As-durのあたたかい曲なら、指を少し寝かせ、離鍵を遅めにたっぷりと。
  • 短調の響きが感じられてないなら、和声短音階の増2度を味わいながら。

(一例です)

 

1オクターブでもかまいません。

「あ、変わったな」と思ったら、また曲に戻ります。

すると、始めより曲に合う音になっていたり、自己主張(「こう弾こう!」)のある表現になっていたりします。

「お家の練習で忘れたら、またスケールで確認して考えてみてね」と付け加えています。

曲を弾く前や練習中に、確認のために

ここまで書いたようなことを、曲を弾く前や練習中に「思い出すために」弾きます。

  • 音や響き、キャラクターの確認
  • 調性、固有音、ハーモニーの確認
  • 指や手のバランス、体のポジションなどの確認
「ドレミファソ」と5つの音を弾くだけでも、いろんなことに気づきますよ。

スケールとアルペジオの教本いろいろ

ハノンがダントツにメジャーだと思いますが、いろいろあります。

ハノン ピアノ教本

音高や音大入試で指定されるのは、ほぼこの本です。

39番にスケール、41番にアルペジオが載っています。

3度と6度のスケール、アルペジオの本(大阪音楽大学編)

大阪音楽大学が編集している本です。

  • 2オクターブのスケール・アルペジオが入っている
  • 3度と6度のスケール・アルペジオが入っている
  • ハノンと同じ、オクターブ(ユニゾン)も入っている
  • カデンツの欄が空欄になっている

3度と6度のスケール・アルペジオが全調入っているので、とても良い勉強になります。

ふつうのユニゾンのスケール・アルペジオも入っているので、ハノンではなくこちらを最初から使うこともあります。

カデンツの部分が空欄なので、上に書いたように和音を応用したり変奏したりすることがやりやすいです。

初級者はもちろん、中級以上の方におすすめです。

初級の方に。バーナム「全調の練習」

こちらはスケールアルペジオがメインの曲ではなく、

易しくてシンプルな短い曲が全調で登場します(それぞれちがう曲です)。

楽譜の上に、1オクターブのスケールが載っています。

各調の音を覚えて、さっそく弾いてみよう!というコンセプトですね。

指づかいはハノンのをうつしてもいいですね(指導者が書いてあげると良い)。

※わたしが持っている本と違う「改訂版」が出ているようです。改訂版の特徴がわかったらまた書き加えます。

まとめ

この記事では、スケールとアルペジオの活用方法を書きました。

わたしはいつも、スケールとアルペジオも

  • きれいに
  • よく聴いて
  • いい音で
弾いてと言いますし、自分の練習のときも心がけています。

なんだか調子が悪いな、というときはスケールを弾いてみることもよくあります。

「つまんない指の練習〜」と思わずに、ぜひ活用してみてくださいね!

関連note

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