突然ですが、今まで お医者さんに行かれたことはありますか?
何かしら、頭が痛い、お腹が痛い、血が出ている、など不調を感じて行きますね。
そんな時、どんなことを期待されますか?
的確な診断と、必要な処置で、元気になりたいと願うのではないでしょうか。
ピアノの演奏にも、何かうまくいかないことがある時は
- 的確な診断(現状の把握)
- 必要な処置(解決のための良い練習)
- 目的・願い(上手に弾きたい、こんな風に弾きたい)」が必要です。
たとえば、
- ミスしてしまう
- 跳躍で音をはずす
- 走ってしまって速くなる
- トリルが入らない
- 硬い音になってしまう
改善したい!!ですよね。
そのためには?重要なのは次の3ステップです。
0. 気づく
3ステップと書きながらその前に。
まず、気づくことです!自分の状態に。
認識することが、第一歩。
1.目的をはっきりさせる
どう弾きたいのか?
- 本当はどんな音で弾きたい?
- どんな雰囲気で弾きたい?
- どんなキャラクターで弾きたい?
理想の姿を明確にします。
ただし、「~~~しない」だけでは、不十分です。
「~~~どうする」「~~したい」を見つけます。
テクニック面から、音楽の理想像までしっかり描ければ期待大です!
例:同じところですべってしまうのを直したい時の思考・一例
「リズムよく弾く」
「かっこよく弾く」or「キラキラっと弾く」
正しく弾きつつもリズムよく、かっこよく、キラキラっと・・・イメージが高まれば、その演奏に近づきやすくなります。
このように、イメージは高く、具体的に浮かべたいのです。
2.問題の原因を見つける
たとえば1の例で、「すべってしまう」、原因は何でしょうか?
これは山ほど可能性があります。
- 指の瞬発力や筋力が弱い
- 強い指と弱い指の差が出ている
- 手首や腕に余分な力が入っている
- リズムを正しくとれていない
- 拍子感が薄い
- (右手がすべるとき)逆に、左手を聴けていない
- アーティキュレーションのつけ方が曖昧である
などなど・・・
ここを見誤ると、解決から遠ざかってしまいます。
たとえば頭が痛くて病院に行ったけど実は原因は虫歯だったとか、目の疲労だったとか。
原因がわからなければ対処が難しいですよね。
原因がわかれば、大きな収穫です。
ここが重要で、指導者(先生)の仕事の一つでもあります。
でも、自分自身でもその判断ができれば充実した練習になり、ぐんぐんうまくなります!
3.解決策を考えて、実践する
解決策はさまざまです。
- 視点を変える
- 体の中で意識するポイントに気づく
- 具体的な練習の積み重ね
たとえば「速くなってしまう」とき・・
- 弾き飛ばして速くなっている場合、音を聴くことで速くならないこともあります。
- 拍子感が薄かった場合は拍を感じるとうまくいく場合もあります。
- 気持ちがワーッと燃えて速くなっている場合、ほんの少し冷静に、全体を見渡すと気づけることもあります。
虫歯だから、虫歯を治しましょう。
風邪だから、風邪薬を飲みましょう。
疲れやすくなっているから、体質を改善しましょう。
それと似ていますね。
レッスンで生徒さんから
「ここがどうしても弾けないのですが・・・」「思うような音が出せないんですが・・・」と相談を受けることがあります。
そういう演奏の悩み相談の場合、「目的・理想像」と「原因」を先に考えます。その後に、「アドバイス」や「練習方法」です。
これまでの経験から「それは○○をこのように」とか「左手を一音ずつ聴いたらいいよ」とかすぐ伝えられることもありますが、時には一緒に考えることもあります。
その場で一緒に考えながら、「こうすれば!」と見つけて素敵な音楽が出たときには生徒も笑顔になりますし、私も嬉しくなります。
残念ながら一回で答えが出ないこともあります。でもそうして試行錯誤することで前進していると思っています。
それをするのは「誰」?
これって、ピアノの先生の仕事なの?
お医者さんしかできないの?
というと確かにそうなのですが、必ずしもそれだけではありません。
ピアノを習いたてだったり、知らないことがまだ多かったら難しいので、いきなり一人でやれとは言いません。
それにかなり自主的な練習をできる人でも、何でもできるわけではありません(全部一人でできたらピアノの先生は必要ありませんね)。
でも、真剣にピアノを学んでいる方は、ぜひ今より少しずつでも、自分自身で「気づき、発見する」そして「理想を持つ」ことを心がけてください。
間違っていてもいいんです。
まずは、考えてみようと意識を働かせることが大切です。
指導者は、そのための材料をたくさん見つけて渡し、手助けをします。
そういう意味では、ピアノの先生は「名医」でありたいと願いますし、自主的に練習する時は自分が自分の「お医者さん」ですね。